ブックタイトルここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.3

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ここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.3

2 3 道徳科で何をどのように板書するか,これは大きな問題です。「板書は子どもの思考を深める手がかりだ。」とか,「板書は構造化することが大切だ。」などと言われますが,何をどうすればよいのでしょうか。 いきなり「構造化する」とか,「思考を深める」などと構えないのがよいと思います。とりあえず,教材の内容が理解できるようにすることです。 まず,登場人物は誰なのか。もしわかっていれば,それぞれの名前や性格を板書に位置づけましょう。顔絵があるとよいですね。登場人物同士の関係がわかるともっとよいです。 次に,教材の展開のだいたいがわかるようにしましょう。黒板の右端から時間軸に沿って,こうなって,こうなって,こうなるというような感じです。数としては,三つくらいが適当です。それぞれに場面絵があるとよいですね。 あとは,子どもの発言を位置づけるのですが,場面絵の下や横に吹き出しのような形で位置づけるとよいでしょう。 子どもの発言は,全てを板書する必要はありません。そうかといって,教師の都合で一部の発言しか取り上げないのはよくありません。子どもは「どうせ先生は,期待した答えしか黒板に書いてくれないのだな。」と思って発言しなくなります。発言したことを受け止めてもらえない道徳科って,そんなつまらないものはありません。 ですから,全ての子どもの発言を受け止めながら,キーワードを板書しましょう。例えば,「やめようかなあ。続けようかなあ。どうしようかなあ。」という発言があったとします。その際は,「どうしようかなあ。」と板書します。 それから,板書のタイミングですが,一人一人の発言をその都度板書するのではなく,ある程度の区切りごとに板書します。その方が,子どもの思考が途切れなくてよいからです。役割演技の際も,途中では板書しません。演技が終わってから,ゆっくり板書します。 でも,どの子どもがどんな発言をしたのか覚えきれないことがあります。そんな時は,メモをとったり,子どもに確認したりしましょう。「みなさんの発言を書きましたが,自分の発言がちゃんと書いてありますか。なかったら付け足しをしてくださいな。」という感じです。もし,自分の発言した言葉にこだわる子どもがいれば,それを認めて訂正や加筆をします。 とにかく,どんな子どものどんな発言も,きちんと受け止めることが大切です。  子どもの発言を順番に板書していると,書き切れなくなるのは当然です。道徳科にはその時間のねらいがあります。ねらいは教師の「明確な意図」でもあります。この時間に何について考え,何に気付かせたいかという明確な意図です。板書に「めあて」を位置づけるのも一つの方法です。 子どもの発言を全て羅列するのではなく,明確な意図に沿って,あらかじめ板書する位置を決めておき,子どもの思考を整理してやりましょう。 例えば,「A 希望と勇気,努力と強い意志」でよくあるのですが,めあてに向かって取り組んでる主人公が途中であきらめかける場面です。子どもは教材を読んで,ねばり強く続けるために大切な気持ちや考え方は何かを追求しているわけです。 板書では,右上のようになります。 子どもの発言を大きく三つに分けます。「あきらめる」のが右側。真ん中が「迷い」,左側に「続けてがんばる」を位置づけます。そして,それぞれの根拠を,その横に書きます。最初に「続けてがんばる」の発言が出ても,慌ててはいけません。右側を空けて板書していきます。 なぜ,「続けてがんばろう」が左側なのでしょう。それは,最後に達成してよかったという場面がその左側にきて,視覚的にそこへとつなげやすいからです。 道徳科の板書は,縦書きか横書きかどちらがよいのでしょうか。教科書が縦書きですから,縦書きにする方が,子どもにとって違和感がなくてよいと思います。 また,上下段に分けるのも一つの方法です。例えば,二人の登場人物の考えを対比して示すのには,上下段に分けるとわかりやすいでしょう。 チョークの色は,基本的に白色を使います。強調したいときに黄色や赤色でサイドラインを引いたり,囲んだりします。矢印でつながりや変化を示すのもわかりやすくする工夫です。 板書は計画に沿いながら,子どもの発言を落ち着いて整理し,明確な意図をもって書きましょう。 いずれにしても,板書はシンプルでわかりやすいのがいちばんです。「構造化」を意識するあまり,複雑にしないようにしましょう。板書に困っています。132子どもにわかる板書工夫する子どもの思考を整理する 私は,板書は好きな方です。黒板にチョークで文字を書くのは好きですし,自分で言うのは恥ずかしいのですが,割と字もきれいな方です。でも,道徳科の板書には困っています。子どもの発言を全部書いてあげたいのですが,たくさん発言すると書き切れません。後から見ても,とてもごちゃごちゃしていてわかりにくい板書になってしまっています。 そこで,教科書の指導書に載っている板書例を書き写しています。子どもはそんな発言をしていないのに,つい板書例のとおりに書いてしまうこともあります。一見して見栄えはよいのですが,私としては,全然しっくりしません。どうしたらよいのでしょうか。疑問7第◯回 道徳科 教材名 登場人物友だち場面絵③ 場面絵② 場面絵①・ーーーーー・ーーーーー・ーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーあきらめかけたときあきらめよう。 ・これ以上無理だから。 ・つかれたから。どうしようかな。続けてがんばろう。 ・今までの努力がむだになるから。 ・あともう少しだから。 ・もっと強い自分になりたいから。