ブックタイトルここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.4

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ここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.4

2 3 道徳科の終末には,終末の役割があります。その役割が果たせるのであれば,何をどのようにしてもよいというのが,私の考えです。何も無理をして教師の体験談を語らなくてもよいのです。もし,教師の体験談を語るのであれば,どのようにすれば語りやすくなるのか,その他にどのような終末の学習活動があるのかを紹介していきましょう。 私がもし体験談を語るなら,次のような点に配慮したいです。①武勇伝を語って押しつけないこと。②人間的な弱さを中心に語ること。③ねらいからはずれないように語ること。 人のことは言えませんが,年配の上司の方は「私が若い頃はこうだった。」などと武勇伝を語りがちですよね。一応,「それはすごいですね。」とは思いますが,それ以上のものはありません。おまけに,「だから,あなたたちもしっかりがんばりなさい。」などと言われると,もう押しつけ以外のなにものでもありません。 ですから,「先生も悩んだのです。いろいろ失敗もしたのです。」と,人間的な弱さを中心に語るほうがよいと考えています。そのほうが,「先生もそうだったのか。」と親近感をもつことができます。そして,「でも,あきらめずに○○したのだよ。」などと語られると,「そうか,じゃあ自分ももう少しがんばってみようか。」という気持ちになれるかもしれません。 また,本時のねらいからはずれないように配慮することも大切です。実際の体験談は,様々な内容項目とつながっています。そのまま語ると,本時にねらう内容項目がぼやけてしまうことがあります。本時のねらいに沿った話になるように,いらない部分はそぎ落として,筋を通す必要があります。 でも,あくまでその時間に扱う教材がメインあることを忘れてはいけません。もしも,教師の体験談の方がすばらしいものであれば,いっそのこと,それを自作教材にすればよいと思いますよ。  私は,道徳科の終末の役割を,その時間に何を学んだのかを印象付けることだと考えています。教材を読んで友達と話し合って,こんなことに気付いた。それに照らして今までの自分を振り返ってみると,自分にもこんなよい面があるのを見つけたということだと思います。 最後に何を学んだかを印象付けることで,本時の学習がシュッとまとめられます。そのことによって,「道徳科っておもしろいな,楽しいな。」と道徳科を学ぶよさを実感することができます。「○○さんの考えには感心したな。」と友達のよさに気付くこともできるでしょう。「よし,がんばろう。」と子どもの実践意欲を高めることもできると考えています。 体験談のほかに,ことわざや格言はどうでしょう。短く印象付けることができます。いつまでも心に残るかもしれません。例えば,内容項目「D 生命の尊さ」の授業の終末に,「命は地球よりも重い。」を提示したとします。子どもが日々のくらしの中で,事件や事故に遭遇したとき,命を意識したとき,「そうだ,命は地球より重いものなんだ。」と思い出したとしたら,すばらしいじゃないですか。 友達が今までの自分を振り返って書いたものを紹介するのはどうでしょう。「○○さんはこんなふうに書いていますよ。」それを聞いていた他の子どもが「自分と同じように考えている友達がいるんだ。」と思うと,実践しようとする意欲がわいてきますよね。 少し似ていますが,作文を紹介するのはどうでしょう。道徳科ではなく,日々のくらしや他教科・領域で書いた作文です。道徳科は,教育活動全体を通じて行っている道徳教育を補ったり,まとめたり,深めたりする時間ですから。ただし,本時のねらいにぴったりなものを選択しましょう。そして紹介する際は,本人の了解を得ておきましょう。「あなたの作文のここがこんなふうにすばらしいから,みんなに紹介してもいいですか。」と。 また教材がすばらしいなら,もう一度読み聞かせたらどうでしょう。教科書でもよいし,紙芝居でもよいでしょう。もし,DVDなどの視聴覚教材があれば,もう一度みんなでそれを視聴してみてはどうでしょう。全部視聴したところで3分程度がほとんどです。長くても6分もあれば十分でしょう。気に入った場面をみんなでじっくり味わって,今日の学習を印象付けるわけです。 さらに,家の人や地域の方からの手紙やビデオレターはどうでしょう。新たなことを話してもらうのではなく,本時に学んだこと気付いたことと同じようなことを語ってもらいます。そうすることによって,自分たちが考えてきたことについて,これでいいんだという自信をもつことができます。 あるいは,校長先生に登場してもらうのも,一つの方法です。もちろん子どもたちが考えて話し合ったことについて,認め励ます内容の話がよいと思います。そのためには,どんなことを話してほしいか,しっかりと打ち合わせをしておくことが大切です。 何も終末に体験談を語ることにこだわる必要はありません。終末の役割を十分に理解したうえで,その時間の学習が子どもに印象付けられる方法を考えてみましょう。そして,多様な方法を試して終末を楽しみましょう。終末に教師の体験談を語るのが,苦手です。1 教師の体験談を語るなら2 終末の役割3 多様な終末 終末に教師の体験談を語るのが,とても苦手です。子どもの前で自分の体験談を語るのは恥ずかしいです。もし,ぴったりの体験談がない場合は,自分で創作することにしています。でも,それって本当のことじゃないじゃないですか。子どもの前で語りにくいですよ。みなさんは,道徳科の終末での教師の体験談をどうされているのでしょうか。疑問10