ブックタイトルここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.4

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ここが知りたい 小学校道徳科15の疑問 vol.4

4 5くなったとき,わたしはどんなことを思ったでしょう。」と発問すると,子どもたちからこんな反応がありました。ア 汗はだらだら流れるし,疲れたし,もうやめよう。イ この縄は跳びにくい縄だなあ。ウ よく跳べるようになるこつを教えてくれないから  ダメなんだ。エ お母さんにほめてもらいたいから,がんばろう。オ できるようになりたいから,もう少しがんばろう。 もちろん,教材文には詳しく書いてありません。だから,どの子どもの発言も,「自我関与」によるものだと考えられます。イの子どもは,物のせいにしてあきらめる傾向の「自我」があるようです。ウやエの子どもは,人に頼ろうとする「自我」が見えています。イ・ウ・エの子どもの共通点は,他律的な「自我」ではないでしょうか。アの子どもは我慢ができにくい「自我」が現れています。オの子どもは,自律的な「自我」や向上心の現れが見られます。 これらを伝え合うことが,人間理解,他者理解だと思いますし,物事を多面的・多角的に考えることの一つの方法だと思います。 「自我関与」して発言するのは,けっこう恥ずかしいものです。冷やかされたり,笑われたりするとなおさらです。ですから,そうならないためには何でも言い合える人間関係が必要になります。どんな発言でもちゃんと受け止めてくれる友達が必要です。つまり,学級経営が充実していることが,「自我関与」しやすくなる前提条件といえます。 よく,「自分だったらどうするか考えましょう。」と指示する場合があります。でも,それを言ったから「自我関与」できる,言わなかったら「自我関与」できないという単純なものではありません。私は,言わなくても自然にできるのがよいと考えています。では,どうすればよいか。それは,「自我関与」することのよさを実感することだと思います。「自我関与」して考え話し合って,「よくわかった。」「楽しかった。」「おもしろかった。」という経験を積み重ねることです。そうすれば,教材を視聴しているうちから,自然と「自我関与」するようになるのではないかと考えています。 「自我関与」とは,登場人物に自分を投影して判断や心情を考えることです。「自我関与」することによって,自分の内面と向き合うとともに,自分以外の人の考え方や感じ方の多様性を知ることができます。 子どもたちがどんな考え方,感じ方でも率直に発言できる環境を整えましょう。 うさぎさんになりきって考えられるなんて,とても素敵なことですね。それはもう十分に「自我関与」できていると思いますよ。自信をもってほしいです。 「自我関与」というのは,登場人物に自分を投影して,判断や心情を考えることです。他人事ではなく,自分事として考えるとも言えます。登場人物になって考えていますが,実は,日々のくらしの中で自分が考えていることが,登場人物に投影されているというわけです。ただし,道徳科では登場人物全般に投影するのではなく,道徳的価値にかかわる場面の登場人物に投影するという方が,正確かもしれません。 例えば,教材の登場人物が困っている人に親切にしたとしましょう。「『ありがとうございます。』とお礼を言われてどんな気持ちになったでしょう。」と尋ねると,きっと「うれしい気持ち。」という答えが返ってくるはずです。 子どもは,自分を登場人物に投影して,自分が人に親切にしてお礼を言われたとき,とてもうれしかったことを思い出して,この登場人物もうれしい気持ちなのじゃないかなと想像しているのです。これが「自我関与」です。ですから,まったく経験がないことには,子どもは「自我関与」しにくいのです。 それでも,子どもはすばらしいもので,まったく自分は経験したことがなくても,似たようなことで自分はこんな気持ちになったから,きっとこの登場人物もこんな気持ちになっているにちがいないと想像することができるのです。 例えば,2年生の内容項目「B 親切,思いやり」の教材に「ぐみの木と小鳥」というのがあります。自分は人間だから小鳥ではありません。ぐみの木が言葉をしゃべるのを聞いたことなんてありません。りすと会話したこともありません。まして,嵐の中をぐみの実をくわえて飛ぶなんていう経験は皆無でしょう。でも,子どもって「自我関与」できるのです。「りすさんが待っている。行かないとりすさんの具合が悪くなってしまう。」なんて。きっと,自分の家族や友達が病気になったときのことを無意識に思い出して,小鳥さんに投影して想像しながら話しているのでしょう。 また,教材にはっきりと書いてあることは,誰でも読めば同じような想像ができます。でも,教材に書かれていないこと,いわゆる行間を読むということは,子どもによってずいぶん違ってきます。「関与」する個々の「自我」が違うからです。 例えば,2年生の内容項目「A 希望と勇気,努力と強い意志」に「なわとび」という教材があります。なわとびの練習を繰り返してもうまく跳べない主人公。「汗をかき腕が痛『小学どうとく 生きる力 2』P.132・133『小学どうとく 生きる力 2』P.761 「自我関与」のよさ2 「自我関与」はそれぞれ3 「自我関与」しやすくするために疑問11 「自我関与」って,どういうことですか。 「自我関与」ってどういうことですか。展開後段で自分にもどすことだと思っているのですが,子どもは,展開前段で教材を読んで話し合っているときも,登場人物になって考えています。特に,低学年では動物などになりきって考えています。私の学級の子どもは,「うさぎさんになって考えましょう。」なんて言わなくても,うさぎさんになって考えています。それでよいのでしょうか。不安なので教えてください。