ブックタイトル道徳科「深い学び」のための内容項目ハンドブック

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概要

道徳科「深い学び」のための内容項目ハンドブック

学年「学習指導要領」の内容発達の段階ごとのキーワードとポイント小・低学年身近にいる人に温かい心で接し,親切にすること。「温かさ」「相手のこと」低学年の子どもたちは,親切にすることが大切であることは知っています。なぜなら,小さい頃から,「年下の子や高齢者,困っている人には親切にしようね」と言われ続けているからです。でも,その「大切さ」の中身は,「言われたから」「ほめられるから」が中心です。そのような子どもに,「親切って大切なのだ」という考え方の中身を広げていきましょう。低学年ですから,結果に着目します。親切にすると,ほめられるだけじゃなく,相手がとてもにこにこと笑顔になります。周りの人たちもにこにことします。そして,親切にした自分も嬉しくなるのです。つまり,親切は,自分や相手,周りの人たちの心を温かくする素敵なことなのだということから,親切の大切さを広げていけるようにします。小・中学年相手のことを思いやり,進んで親切にすること。(低学年の内容)+「相手の気持ち」中学年は,相手の気持ちを深く考えられるようになってくると言われています。したがって,中学年では「温かさ」に加えて,相手の気持ちを考え,「自分だったらこうしてほしい」と思うことを相手にすることが思いやりだと自覚できるようにします。低学年は結果であったのに対して,中学年は「相手の気持ちを考えたら,自分は……」と,「動機」に注目して「親切,思いやり」の意味や大切さを考えられるようにします。小・高学年誰に対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にすること。(低,中学年の内容)+「相手の立場」相手の気持ちを考えるだけでは,高学年の「親切,思いやり」には不十分なのです。相手の置かれている立場や状況までも考え,どうすることが本当に相手のためになるのかを考えて行うのが思いやりであるということを自覚できるようにしたいです。さらに,「誰に対しても」は,様々な人に対象を広げるというより,「様々な相手に応じて」つまり,その人にとってどうすることが大切なのかという方向で考えられるようにします。中学校(思いやり,感謝)思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。(小学校の内容)+「さりげなさ」中学校の段階では,人間としての弱さと崇高さから思いやりについて考えられるようにします。ポイントは,「さりげなさ」です。思いやりとは,心から相手のためのことを思い行う行為であるが故に,「自分がしてあげた」などといった自分中心の考えではなく,「さりげなさ」が大切です。しかし,私たちはつい,「してあげている」と,自分のことが大事になってしまうのです。この人間的な弱さと同時に,相手のことをとことん大切にしようとする思いやりをもった人間の崇高さが,私たちの心の中には同居していることを自覚できるようにしましょう。それが人間愛です。そして,相手に気付かせない,負担をかけない,さりげない思いやりの難しさとその素晴らしさを,みんなで考え合えるようにしたいものです。学年「学習指導要領」の内容発達の段階ごとのキーワードとポイント小・低学年家族など日頃世話になっている人々に感謝すること。「ありがとうがいっぱい」低学年は,具体的な思考をする段階です。したがって,感謝の対象も,身近にいてお世話になっている人たちです。しかし,自分中心の低学年の子どもたちは,お世話になっていることは当たり前のことと考え,感謝の気持ちを抱きにくい状況があります。合い言葉は,「ありがとうを見つけよう!」。「ありがとう」を伝えたい人たちやお世話になっていることをたくさん見つけられるようにしましょう。また,してくれたことだけではなく,その奥にある思いも考えることができるようにしましょう。小・中学年家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。(低学年の内容)+「ここまで私たちのことを」中学年の感謝の対象は,目の前の人に限らず,自分たちの生活を支えてくれている人たちへの感謝です。それは,出会ったことのない人たちもいれば,高齢者のように,かつて支えてくださっていた人たちなど,子どもたちにとっては「遠く」の人たちです。つまり,対象の範囲が広がります。さらに,「尊敬」という内容も加わります。この尊敬は,単に,すごいというだけでなく,遠くの見ず知らずの私たちのことを大事に考えようとしてくれていることに対する尊敬であり,心からの感謝につながるものです。小・高学年日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それに応えること。(低,中学年の内容)+「つながりに守られて」高学年の感謝の対象は,さらに見えにくいものとなります。それは,支え合いや助け合いという,人と人のつながりによって私たちは支えられ,助けられていることに対する感謝です。これは,直接,見たり,お礼を言ったりすることはできません。だから,しっかりと意識しないといけないし,感謝の心を表すために,自分もまた支え合いや助け合いのつながりの中に入り,自分にできることをすることによって,困っている人を支えたり,助けたりしていくことが,感謝に応えることになるのです。中学校(思いやり,感謝)思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。(小学校の内容)+「見ようとしない自分の弱さ」感謝の心は,進んで心掛けて見ようとしないと気付けないものです。なぜなら,私たちは自分中心に,狭く物事を捉えてしまうからです。このことは,つい,「自分がしてあげている」と自分を主張してしまいがちな「思いやり」の心と同じく,人間的な弱さから出ているものです。したがって,中学校は,「思いやり」と「感謝」は一つの内容項目として扱われています。 当たり前と思い,見ようとしない自分の弱さに気付き,相手の思いやりの深さに感謝するとともに,自分のできることで応えていこうとする気持ちを高めていくことができるようにしましょう。なお,感謝の対象も,個人に対するものから,社会や人と人とのつながり,さらには自然の恵みへの感謝などへも広げましょう。14 15B 小 親切,思いやり/中 思いやり,感謝 B 小 感謝/中 思いやり,感謝Bの視点