ブックタイトル道徳科「深い学び」のための内容項目ハンドブック

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概要

道徳科「深い学び」のための内容項目ハンドブック

学年「学習指導要領」の内容発達の段階ごとのキーワードとポイント小・低学年約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にすること。「みんながよい気持ち,みんながいやな気持ち」結果や具体的なことに注目しがちの低学年は,きまりを守ったり,守れなかったりした後のことに注目させましょう。その際,「みんな」という視点を大事にしましょう。みんなには,自分も相手も,そして,その物や場所を使う多くの人も含まれています。きまりを守ることで,そのみんながよい気持ちになるのです。さらに,みんなが気持ちよく過ごせるというだけでなく,みんなが優しい集団や社会になるといった視点も大切にしましょう。小・中学年約束や社会のきまりの意義を理解し,それらを守ること。(低学年の内容)+「みんな同じ思いや願いがあるから」約束や社会のきまりの意義,公共のものや場の大切さは,「守るとよい気持ちになる」という結果の視点だけでなく,「みんな同じ思いや願いがあり,それらを誰もがかなえられるようにするためにあるのだ」という視点で考えましょう。この視点は,低学年に見られがちの「結果」に注目したものではなく,中学年から表れてくる「動機や過程」に注目した考え方です。小・高学年法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。(低,中学年の内容)+「権利があるから義務がある」中学年では「きまり」であったものが,高学年では「法やきまり」と,法の考え方に発展していきます。集団の中の成員は,一人ひとりが権利をもっています。その権利をみんなで守っていくために,成員一人ひとりに義務があります。それは,よりよい社会に生きる権利と,よりよい社会をつくる義務です。このことを理解することで,法やきまりは,守らなければ罰せられるという他律的な考え方ではなく,みんなが住みやすいよりよい社会をみんなでつくるという公徳の考え方や,自律的な法やきまりの守り方の自覚につながります。中学校法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。(小学校の内容)+「法やきまりは自分たちが作ったもの」私たちは,法やきまりを「私たちを拘束する,冷たく融通の利かないもの」として捉えがちです。しかし,そもそも,法やきまりは,みんなでよりよい集団や社会をつくろうという思いのもと,みんなで知恵を絞って考え,作ったものなのです。つまり,法やきまりを,すでにあるものと捉えるのではなく,立法者や社会の形成者としての視点で捉えるということです。実際,中学生が校則の改正に取り組む事例がありますが,このとき,不思議なことに,中学生は,教師が考えるよりも厳しく校則を定めます。この校則をみんなで守ることによって,自分たちの中学校を,みんなが楽しく通える日本一の中学校にしようという思いがあるからです。ところが,年月が経つと,校則は自分たちを縛るためのものだといった捉えになってしまうのです。特に,中学校2,3年生あたりで,法やきまりに対して,立法者の視点がもてるようになってくると言われています。中学校の指導のポイントは,ここにあります。学年「学習指導要領」の内容発達の段階ごとのキーワードとポイント小・低学年自分の好き嫌いにとらわれないで接すること。「仲間はずれがないと,みんな楽しい」自分の好き嫌いにとらわれて接すると,仲間はずれや一人ぼっちになる人が出ます。そうなると,その人もいやな気持ちになりますが,自分も,周りの人たちもいやな気持ちになります。逆に,仲間はずれや一人ぼっちの人がいなくなると,その人はもちろん,みんなが楽しく,よい気持ちになるのです。したがって,自分の好き嫌いにとらわれないで接することはとても大事なことです。小・中学年誰に対しても分け隔てをせず,公正,公平な態度で接すること。(低学年の内容)+「みんな,仲間」ギャングエイジと呼ばれる中学年は,自分たちの好みで気の合う仲間をつくり,排他的になってしまうことがあります。「分け隔てをしない」ということには,自分たちだけでなく,他の友達もみんな,同じ一つの集団の中にいるのだという自覚が大切です。その上で,誰かが仲間はずれにされたり,つらい思いをしたりしていたら,それは,自分たち集団の問題であり,同じ集団にいる自分たちが取り組み,解決していく問題であるという自覚を深めていきましょう。小・高学年誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく,公正,公平な態度で接し,正義の実現に努めること。(低,中学年の内容)+「仲間の問題は,自分たちの問題」高学年になると,いわゆる「社会律」と言われる段階の子どもたちが多くなります。周りからの視線が気になり,友達からどのように見られているかで判断したり,同調圧力を強く感じたりする時期です。このため,集団の問題に気付いていても,多数派に同調したり,他人事と傍観したりしてしまいがちです。この考え方が偏見や差別を生み出していること,このことがいじめの問題につながっていくことなどを自覚し,「自分たち」の集団や社会の中で起こっている問題として考え,よりよい集団や社会正義の実現に向けて,自らが積極的に関わっていこうとする意欲や態度を育てていきましょう。中学校正義と公正さを重んじ,誰に対しても公平に接し,差別や偏見のない社会の実現に努めること。(小学校の内容)+「閉じた正義と開かれた正義」自分たちの仲間だけを優遇し,自分たち以外の者や集団に対して閉鎖的,排他的になったり,自分と異なる感じ方や考え方,少数の立場にいる者や自分よりも弱い存在に優越感を抱き,差別心や偏見をもったりしてしまうのは,自分たちの集団を閉鎖的・排他的にして,自分たちを守ろうとする弱い考え方です。「閉じた正義」とでも言えるでしょう。一方,よりよい集団や社会の実現に向けて,公平な手続きのもと,自分が積極的に行動を起こすことは「開かれた正義」です。集団や社会の問題は,その成員が解決していかなければなりません。正義の実現は,差別や偏見,いじめの直接的な当事者だけでなく,その集団や社会の成員すべてにかかっています。積極的な行動とは,直接的な行動だけでなく,まさに成員同士が力を合わせ,様々なアプローチで関わっていく「開かれた正義」なのです。20C 小 規則の尊重/中 遵法精神,公徳心Cの視点C 小/中 公正,公平,社会正義21