ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC

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概要

いっしょに考えよう図工のABC

Ⅰ図工って感じることの大切さ環境問題の名著『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンは,「知ることは,感じることの半分も重要ではない」と,『センス・オブ・ワンダー(神秘さや不思議さに目を見張る感性)』に書いている。*1これは小さきものへの限りない愛情とも言える。しかし,大人になると,この感性からは遠ざかっていくようである。前文部科学省教科調査官の奥村高明氏と,画廊経営者の野呂洋子氏との対談の中で,野呂氏が「子どもは理屈ではない部分で体感する。芸術にすごく敏感で,新しいものを無条件に受け入れられる能力がある。子どもはみんな天才です。」と,子どもの能力や可能性について語っている。*2大人と違う見方をする子どもの絵の見方があることを前提に鑑賞学習を組み立てなければならない。「わかる」という理解を前面に出すと,「知識」を前提にした鑑賞学習になる。「感じる」ことを中心においた鑑賞学習は,子どものまなざしから組み立てる授業となる。「感じる」ことと「わかる」ことの行き来の中で,子ども自身が「考える」ことが大切なのである。美術教育学者のローウェンフェルドは,優れた教師の資質や能力について「知識よりも問題に対する感受性を,法則よりも美的体験を重んじ,1人1人の子どもの重要性を絶えず意識している。この直観的性質は何ものにも置き換えることのできないものであり,これが,考え深い柔軟性を以て利用されることになる。」と語っている。*3何より大人が感性を磨くことである。*1レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』上遠恵子訳新潮社1996*2文部科学省教育課程課『初等教育資料』NO.854東洋館出版2009.12*3ヴィクター・ローウェンフェルド『美術による人間形成』黎明書房196311