ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC
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いっしょに考えよう図工のABC
Ⅰ図工って「もの」から「こと」へ図工は「つくることそのものが目的」である。現象だけとらえると,生活科や特別活動で「子どもまつり」の品物や景品をつくる。学校行事の「学習発表会」の小道具や衣装をつくるのも同じに見える。しかし,その育てたい力や授業のねらいは異なる。生活科や特別活動での「つくる」ことは,「方法」であり,「道具」なのである。次の活動のために充足される「もの4 4」が大切なのである。いろいろな工夫の元で,時間数をひねり出さなければならない現実があるから,図工の時数を充てるかもしれない。しかし「もの」にこだわると結果主義に陥ることになる。図工は「つくること4 4」そのことが目的だから,結果として残らない「造形遊び」のような「こと」を大切にしている。*1「もの」より「こと」を重視すると,さまざまなことが見えてくる。それは,子どもの真の姿である。「やってみたい」「つくりたい」という意欲にあふれた姿は,子どもの主体的で,自主的な態度の表れである。教師の都合で,印刷した枠に色を塗らせ切り取り,卒業週間の飾りに使うなどは「つくる」ことではなく「作業」である。そこに創意や工夫はない。言われたことを行うという受け身の活動に陥ってしまう。子どもを大人の都合で動かしているとしたら,造形教育そのものの根幹を揺るがすことになる。「造形」には「かたちづくる」という経験の時間的な意味があることを深く考えたい。*2*1荒木博之『やまとことばの人類学日本語から日本人を考える』朝日選書293朝日新聞社1983*2宮坂元裕『「造形教育」という考え方』日本文教出版200613