ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC

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概要

いっしょに考えよう図工のABC

Ⅰ図工って材料とかかわること「捨てられた材料が生き返る」という感覚がある。木切れに目を付けただけで,それは誰のものでもない「自分のもの」になる感覚がある。「物」が「もの」になる瞬間である。これらの経験は,遊びの中で培ってきたように思う。TVゲームのような室内に限定される受動的な遊びとは異なる創造的な造形活動である。その活動を支えるのが「材料」である。つくる「こと」を支える「もの」である。材料に触れることで,触発されるイメージがある。図工は「手で考える」と言われるほど,材料に触れることで発想は広がり,実現に向けた構想も深まる。図工が「つくりながら考える」ことの大切さを教えてくれる。形や色などから受け取る情報を基に,創造性を活動の過程で発揮することができるからである。私たちの祖先は,大自然からの贈り物として材料に対して謙虚さと愛情をもって接してきた。材料を単に経済的な立場や人間の都合だけで利用したのでない。消耗品のような考えで造形活動の材料を考えてはいけない。「適材適所」の言葉通り,自然が生み出した材料には,それに適した利用価値がある。また,その材料自体がもつ固有の美しさなど,子どもの感受性を刺戟する価値を併せもっている。「もののいのち」とでも言うべきものを直接自分の手や目で感じ取りながら表現していくことに意味がある。1度使われたものや,廃材,廃物と言われるものの活用は創造性の育成になる。材料としての「物」が,創造的な行為が加わることで,私の大切な「もの」になる。私たちの身体に宿る人類の歴史を感じ取ることができる。*文部省『小学校図画工作指導資料材料・用具の扱い方とその指導』ぎょうせい1986*藤江充・佐藤洋照『図画工作科研究』日本文教出版2011*板良敷敏・阿部宏行『図画工作の指導と評価』東洋館出版200515