ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC

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概要

いっしょに考えよう図工のABC

date:言語活動の充実というけれど「子どもがみえない」という言葉を聞くと,「おや?」と思う。これは「大人」からの見方だけが強調されていて,「子ども」の側から,「大人」はみえているのかという逆方向のベクトルが浮かぶからである。子どもは大人のまなざしに,期待や愛情を感じて,動き出すのである。それは「共感」という,互いに充足された状況が前提にあって成立するのである。大人も子どものまなざしを感じ,そのまなざしに応じた対話や対応が生み出されるのである。*さて,「対話」を基にした鑑賞の学習が,形式だけの「対話」では,実感を伴った喜びは得られない。活動を危うくするのも,子どもの実感に沿うものにするのも,鑑賞の学習を企画し,実践する人の責任と力量に委ねられている。鑑賞学習と位置付けるのであれば形式的なものではなく,教師として,子ども理解の上に立った判断,そして共感に基づく指導でなくてはならない。「授業の終わりに決まったように交流の時間をつくる」「鑑賞させて感想を文字にする」。その文章を教師は評価情報とする。一見普通のように見えるが,評価・評定のための鑑賞学習となったとしたら,教科としての存在まで揺るがしかねない。形式にとらわれず,子どもの発達に応じた鑑賞の仕方があるはず。学校で「見る楽しさを味わう」「見たことを語り合う楽しさ」という状況がどのようにつくり出せるのか。主体的な鑑賞を通して,「作品」と仲よくなり,新しい自分が生まれる瞬間に,どうしたら出会える学習になるのかを,今一度考えてから行動に移してほしいと思う。*佐伯胖『共感育ち合う保育のなかで』ミネルヴァ書房2007*佐伯胖『幼児教育へのいざない円熟した保育者になるために』UP選書東京大学出版会200116