ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC

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概要

いっしょに考えよう図工のABC

date:伝えるということ「むかしむかし,あるところに……」で始まる物語など,日本では,まず時間軸に沿って順番に説明し,その状況をイメージさせながら伝えることが多い。でも,結論は最後まで聞かないと分からない。ビジネスなど,説明に時間を費やすことのできない場合などには不向きである。初めに結論を伝える。そして,その理由を短いセンテンスで説明する。説明を受ける側は,結論と関係付けながら聞き取るので,不要な部分は省いて聞くことができる。効率的で,時間短縮になるが事務的である。渡辺雅子は,日本とアメリカの作文を比べて考察している。*日本は「起承転結」の帰納型の作文が多いのに対して,アメリカの「エッセイ」と呼ばれる小論文では,提案・説得・論証を目的とし,初めに作者の主張を述べる。そのあとに主張の根拠を挙げて,最後に主張が正しいことを最初とは違う表現で繰り返す演繹型の作文が多いことを指摘している。起承転結型の日本的な話は,物語の流れの中で紆余曲折なども入る。それはイメージをふくらませる要因にもなり,物語はますます豊かになる。最後まで結論がわからないことの楽しさがある。今,どんな状況に置かれているのか。何を相手に伝えたいのか。与えられた時間はどのくらいあるのか。どんな方法で伝えられるのか。相手意識をもって,伝えることが大切である。お母さんに本を読んでとせがむ子どもは,本の内容よりお母さんといっしょに過ごす時間を共有したいのかもしれない。「むかしむかし,あるところに……」「お母さん,もう,寝ちゃったの?」*渡辺雅子『納得の構造~日米初等教育に見る思考表現のスタイル』東洋館出版200418