ブックタイトルいっしょに考えよう図工のABC
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いっしょに考えよう図工のABC
Ⅰ図工ってこれから大人になる子ども山崎正和は『文明としての教育』において,ものの見方と学習について,「風景を見るとき,私たちは知らず識らず遠近法によって見ています。今日,世界のどの国の人であれ,いわゆる一点消去の遠近法なしには何も見えてきません。ものを見るとは,じつは遠近法を実行していることと同義です。もし遠近法を知らない人が風景を見るとすれば,今日の私たちが見ている世界は見えてこないはずです。」と述べている。*1このことは文化を共有する人々が,一定の「学習」によって,ものの見方を習得したと言える。この遠近法は14,15世紀のルネサンス期にイタリアで発見されたもので,太古から遺伝子として受け継がれたものではないのである。このことは何を意味するのか。遠近法を習得していない子どもは,大人と同じ見方では風景を見ていないということである。鬼丸吉弘の『創造的人間形成のために』の「子どもの見かたと大人の見かた」では,まず,大人と子どもの見方が違うことを理解することの必要性を説いている。*2子どもは,視覚に障害のある人のように手探りでものを知覚し,その上で,その全体像を頭に思い描く。大人は,目だけで客観的にとらえ学習した見方にあてはめようとするが,子どもの場合は想像力による見方だと言える。だから,子どもの絵は,大人とは違う独特の表現様式をもつと言うのである。子どもには,そうかくべき必然性があってかいているのである。子どもは「内部から生じてくる働き」を視覚化しているのである。だから,子どもの絵は楽しい。*1山崎正和『文明としての教育』新潮新書2412007*2鬼丸吉弘『創造的人間形成のために』勁草書房1996*奥村高明『子どもの絵の見方』東洋館出版201019