ブックタイトル子どもと先生を育てる授業のABC

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概要

子どもと先生を育てる授業のABC

14積極的な模倣を生かす学習にとって重要な「積極的な模倣」と「消極的な模倣」があります。図画工作の能力の一つに「鑑賞の能力」というのがあります。名画を見て作家の名前を覚えたりする能力ではありません。自分の作品や友だちの作品を見たり触ったりしながら,よさを感じ取り,自分の表現に生かそうとする能力です。自分の表現に生かそうと積極的に模倣しようとする力が「鑑賞の能力」です。人間だけが,身の回りの人の行動を積極的に真似しようとする力を幼い時から身に付けているそうです。乳児期の同年齢の集団でも,周囲の子どもの行動に興味を感じるといいます。ですから,私たちは真似をしながら成長してきたともいえます。大人も,はじめて体験する機器などは,周囲のやり方を真似して手順を覚えたりします。教室の子どもたちも,学び方はそれぞれです。階段を一直線に登ることを先生は求めがちですが,子どもたちは有機体のように,友だち同士助け合いながら,それぞれ情報を出し入れして学んでいるのです。一方,「消極的な模倣」は,単純に同じようなことを繰り返すような「なぞり」だけで,自分だけの創意や工夫はありません。それは,型紙の通り切り取るなどの「作業」と同じです。人間の想像力と創造力は常に密接に関わっています。ですから,創意や工夫が,自分の「こだわり」となって現れます。「消極的な模倣」に終わらないのが人間です。「積極的な模倣」は,自分をつくる大きな役割を果たしています。2授業がみえる人間は,積極的に真似しながら育つのです。※柏木惠子『子どもの「自己」の発達』東京大学出版会1983※小西行郎『赤ちゃんと脳科学』集英社新書200317