ブックタイトル子どもと先生を育てる授業のABC
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子どもと先生を育てる授業のABC
29子どもは対象に入ってみる『ハチドリのひとしずく』という南米に伝わる話があります。<森が燃えていました。森の生きものたちはわれ先にと逃げていきました。でもクリキンディという名のハチドリだけはいったりきたり口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑います。クリキンディはこう答えました。「私は,私にできることをしているだけ」>この話を小学校の全校集会の時にしました。子どもたちに,一つ一つをこつこつと実行する大切さを知ってほしいと思ったからです。しかし,話のあとすぐに低学年の子どもから「森はどうなったの?」という反応が返ってきました。子どもたちは,ハチドリという森の外にいる動物ではなく,火に追われて逃げまどう動物たちに心が留まったままだったのです。子どもは内側からものごとを考えようとしているのです。対象に同化することができるのです。これを,幼児性とか,自己中心的で自分のことしか見えないということで片付けていいのでしょうか。見方が大人とちがうのです。大人は,解釈だとか妥当性などといって,自らの視点を固定して見ようとしているように思います。子どもは,柔軟に内側から見たり,外側から見たり,自由に行き来できる力をもっているのです。なんて素敵なことなのでしょう。子どもはイメージの世界を自由に行き来できます。36※辻信一監修『ハチドリのひとしずく-いま,私にできること』光文社2005