ブックタイトル子どもと先生を育てる授業のABC

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概要

子どもと先生を育てる授業のABC

4「面白い」のはいけないこと?1子どもたちに感じてほしいのは「学ぶことは面白い」ということではないでしょうか。学ぼうとする力は,「教える」「教わる」関係からは生まれにくく,自らが進んで取り組むような意欲が喚起されなければなりません。「スパルタ式」と呼ばれ,子どもを厳しく取り扱うと,根性が芽生えやる気を起こすという考えも一部にはあります。しかしそこには,「教える」側だけの論理が働いているように感じます。「教わる」側の心理や精神状態にまで配慮されていないことが多く,「教わる」側に学ぶ喜びが伝わりにくいのだと思います。「学ぶことは面白いこと」と声に出すだけでは,面白いと感じ取れるようにはなりません。「学べ,学べ」という時の「学び」の対象が限定されていませんか。机に向かって集中して行うものだけになっていませんか。人生にはいろいろなことがあるように,「学びの対象」にも,いろいろあることを自覚することです。料理をすることも学び,ものをつくることだって,自転車に乗れるようになることだって,立派な学びなのです。私たち大人は,いろいろな学びを重ねて大きくなってきたのです。試験勉強のように「覚える」というようなものが「勉強」という考えを解きほぐすことが大切です。ベルギーのフェラール・ラーバースは,「居場所感」と「夢中・没頭」*1)が教育の質の前提にあるといいます。仲間といっしょに夢中になって活動に取り組む経験が必要なのです。「面白い」と「楽しい」,学ぶことは「楽しい」のです。子どものころに,時間を忘れて夢中になったことを思い出してください。学校がみえる面白い授業をめざしてみませんか。*1)秋田喜代美『学びの心理学-授業をデザインする』左右社2012※波多野誼余夫・稲垣佳世子『知力と学力-学校で何を学ぶか』岩波新書1984※林竹二『教えるということ』国土社1990※坂元忠芳『子どもと学力』新日本新書19837