ブックタイトル新・図工のABC
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新・図工のABC
16知識は行為にあらわれる ? 知識及び技能 その③?行為にあらわれる子どもの知識中央教育審議会の答申では,芸術ワーキングにおいて取りまとめられた「知識及び技能」に関して,「知識が,体を動かす活動なども含むような学習過程を通じて,個別の感じ方や考え方等に応じ,生きて働く概念として習得される」と示されています。中村雄二郎は『臨床の知とは何か』*1において,マイケル・ポランニーの言葉として「暗黙知」を以下のように説明しています。「(1)われわれは,自分たちのはっきり言えることよりも多くのことを知りうるし,事実知っている。(2)このような知識は,われわれの個人的な裏づけをもっている。(3)われわれの認識の枠組みの実在性と性格は,焦点的にも捉えられず,われわれの行動のうちにただ副次的にあらわれるだけである」。暗黙知も,身体に内在する「知識」です。このことからも分かるように,ペーパーテストで見取ることのできる「知識」は,ごく一部なのです。製作の過程で見取ることができる「行為」にこそ,「知識」があらわれると考えることが重要です。ですから,評価規準も子どもの姿(学習の実現状況)を見取るようになっているのです。〔共通事項〕のアは,平成20年の学習指導要領では「自分の感覚や活動を通して」と示されていましたが,今回の改訂で「自分の感覚や行為を通して」と具体的な行為を対象とすることになりました。先の暗黙知にある「行動のうちに副次的に表れる」という説明のように,並べる,組み合わせる,線をかく,釘を打ってつくるなどの「行為」は,知識を活用してまたさらなる「知識」を得ていることを表しているのです。*1 中村雄二郎『臨床の知とは何か』岩波書店 2002