ブックタイトル新・図工のABC
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新・図工のABC
333時間目子どもの育ちから学びを考えよう先達のことばからまね 一年生は,よほど『家づくり』が好きだとみえる。 いつものように,画用紙で底のない箱型を,みんなといっしょにつくってから,玖馬先生はこういった。??ほうら,もう家ができた。みて?? だが,一年生は承知しない。『屋根ないよ』につづいて,『玄関もない』ときた。すべて予想どおりであった。??困ったな。忘れていた。困ったね。作り方わかんないの!!?? 子どもに助けを求める。「先生,ぼくできるような気する」??そう。ほんと? みんなも考えれるかい。ひとまねしないで,つくれそうな人がんばってね。わからない人みていいよ??(中略)いつも考え深いUが,しきりに友だちのを見ては考えこんでいて,屋根も煙突もなかなかできないでいた。??どうしたの,Uさん??(中略)U は,強く首をふりながらいった。声が泣いてかすれた。「あのね。ぼくのやること……みんな……とっちゃうの」伊藤 恵伊藤さとし『 玖馬先生の四季』 楡書房 1978コンピューターは,確かに素晴らしいものです。一瞬のうちに,正確な答えを出します。それに比べて,人間は機械でないので,考え込んだり,空を見てポカーンとしたり,別なことを考えたりして,間違いや失敗をします。でも,それが人間のよいところです。間違いや失敗,それが,実は新しいものをつくりだすモトなんです。コンピューターは間違えないから,創造することができないんです。人間は間違って,なぜだろう,これはおもしろいぞ,この間違いを利用してこうしたら…うまいぞ,こうしよう。 そこから,新しいものが生まれてくるんですね。失敗した時が,実は,創造するチャンスの時なんです。森川 昭夫森川昭夫 『手づくりおもちゃであそぼ』 東京書籍 1997「園長先生,グレープジュースできました」 と,さっきの子が報告に来ました。 たしかにコップには紫色の水が入っていました。そばには濁ったうす茶色の水がバケツいっぱいに入っています。「これは何?」 と意地悪く聞くと,なんと,「コーヒー牛乳です」 とすまして即答しました。 子どもの発想の豊かさには驚かされます。子どもの豊かな感性をゆり動かさない手はありません。でも子ども以上の感性の豊かさがなければ太刀打ちできません。 私は子どもの感性にいつも波長が合っていたいと思っています。伊藤 善彬伊藤善彬 『子どもってすごい!』 文芸社 2005存在論的把握とは,美しさは事物(もの)や事象(こと)にもともと備わっている固有の性質であり,人間は,それを知覚し認識するのだという考え方のことだといわれています。 ところが,近世に入ると,人間の知覚や認識から,自分が,美しいと思うものが,最も大切であるという考え方が生まれました。それは,認識的把握といわれています。(中略)子どもの時代は「よさや美しさ」は自分の中にしかありません。まだ美しさの尺度が自分の中に出来ていない子どもは「美しい」と言えないのです。しかし,発達途上がゆえに大きな可能性もあります。(中略)子どもの時代には,どのような方向に育ってもよいように共通した大切なベースとして,いろいろなタイプのよさや美しさに遭遇させ,子どもの持っている感受性を刺激して育てることが大切だと思います。宮坂 元裕宮坂元裕 『教育美術No.778 第68巻第4号』 教育美術振興会 2007