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概要

新・図工のABC

44全過程を通して  ? 指導計画の作成と内容の取扱い2(4)?失敗も大切な学習今の学校教育の中に「失敗」を許す教科はどれだけあるでしょうか。私たちは成長に「失敗」がどれだけ大切かを知っています。図画工作は,「失敗」も大切に考えている教科です。指導計画の作成と内容の取扱い2( 4 )には「活動の全過程を通して」自分の思い付いたことや考えたことを試みることを示しています。これは「失敗」も含んでいると考えることができます。立ち止まって考え直したり,違う方法で試みたりするというように,人生の様々な場面で起こり得ることを学習しているともいえます。宮坂元裕は「学校教育では,子供が何かを考えたとき,やってみてわかること(これがわかることである)を大事にする。しかし,子供のすることはだいたいは失敗し,その失敗から学ぶことが多い。学校教育は,失敗することに意味を見出しているのである。」*1として,失敗の大切さを述べています。特に造形遊びは,思い付いたことを「試す」造形的な実験の場です。子どもは,「つくり,つくりかえる」という場で「いいこと思い付いた」とつぶやきながら造形活動を繰り返します。試行錯誤4 4ではなく,発見と思考が繰り返される「試行と思考の連続の場」であるといえます。宮坂は,O・ルーブル著『学ぶとは何か』*2から一節を引きながら,学校を「社会生活への準備の場,失敗してもやり直しのできる場」として位置付けています。子どもが自分で考えたことができる場として教室があるとしたら,子どもの成長にとって大切な空間になることでしょう。*1 宮坂元裕 『「図画工作」という考え方』黎明書房 2016*2  宮坂元裕『「造形教育」という考え方』日本文教出版 2006