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概要

新・図工のABC

595時間目授業改善に向けて授業の中に鑑賞の活動の場面を組み入れる場合には,B鑑賞( 1 )「鑑賞の活動における思考力,判断力,表現力等」も設定する必要があります。この場合の鑑賞は,製作しているときに,友だちの作品を時折見るような鑑賞の活動でありません。鑑賞の学習として,一人一人の子どもに対して指導が行われ評価ができる場と時間が必要になります。つまり育成する資質・能力を設定し指導するということは,一人一人の子どもに対して指導し評価する対象にするということです。2 題材の内容を考える造形遊びをする活動の中で発揮される「思考力,判断力,表現力等」としては,材料の形や色,場所の特徴などから造形的な活動を思い付いたり,表し方を見付けたり,試したりすることが考えられます。1・2年生であれば「身近な自然物や人工の材料の形や色などを基に造形的な活動を思い付く」とあります。ですから,手にした材料に触れてちぎったり,丸めたりするなかで思い付くことや,そのもの自体の形は変えられないが,並べたり重ねたりすることで思い付くなど,材料との関わりを十分に保障することが大切です。3 指導計画,環境の構成を考える学校の回りにある自然物や子ども自身で集めることのできる材料,活動できる場所が必要になります。例えば新聞紙であれば,子どもたちの思いを充足させる数や量も考慮することになります。そのために事前に保護者を通して収集の通知をしたり,敷き詰めるような展開も考えるのであれば,体育館や広い教室などの場所が利用できるように校内での調整が必要になったりします。4 題材名を考える題材名は,学習内容がおおよそ分かることと,期待感を持たせ意欲を喚起することが大切です。ですから,例えば「運動会の絵」「消防車をかく」ではなく,「やったー!○○している私」「私のお気に入りの〇〇」など,子どもが考え決める「主題」が生まれるような「題材名」にすることが重要です。「トントン」「ギコギコ」など行為を擬音で表したり,「どんどん(並べて・積んで・つなげて)」など行為の連続を意図した言葉を用いたりして学習の内容が思い浮かぶ題材名が考えられます。提案は,子どもの姿を思い浮かべて,発想を広げる「発話・発問」や仕組みを考えます。しかし,提案が子どもの造形活動の妨げになってはいけません。短い時間で端的にそして,何より,子どもが「やってみたい」と興味や関心をもって取り組む提案であることが大切です。また,板書は「題材名」の他に,授業の目標を提示したり,見通しに不安をもった子どもへの手立てを示したりするとよいでしょう。しかし,授業のはじめに「板書」にこだわりすぎて,せっかくの「意欲」が萎んでしまうのはもったいないことです。授業の最後に作品の発表会などを設定せずに,子どものつぶやきなどを板書しておくと,授業の終わりには,黒板がまとめになっています。子どもは黒板を見て,授業の振り返りをすることになります。何事にも,子どもの表現の活動に十分に配慮した授業を展開することが重要です。