ブックタイトル新・図工のABC
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新・図工のABC
61 夢を見ました。訪れた小学校は真新しく,SF 映画の宇宙都市の建物か工場のようでした。その廊下には,一枚も子どもの絵が展示されていないのです。校長先生に尋ねると「子どもの絵を廊下に飾って,破られたり,壊されたりしたら子どもが可哀そうでしょう。第一,この白い壁には子どもの絵は合わないでしょう。」という答えが返ったところで,夢から覚めました。 学校は何を育てているのでしょう。 目に見える学力はほんの一部です。その多くは見えません。意欲も,思いやりも行動を伴って,はじめて見えてきます。 見えないものも学力です。図画工作の知識は技能を伴ってはじめて生きてきます。心が動いて絵ができます。手や全身を働かせて得られるつくりだす喜びが知識や技能にむすびつきます。人間はこの世に誕生する前から胎内で人間としての資質・能力を備えて誕生し,その資質・能力に導かれて諸感覚が発達して成長するのです。ですから,子どもたちはよさや可能性を備え,日々の暮らしの中で,自らの資質・能力を発揮して,さらに能力を育んでいるのです。 学校には子どもの夢や希望を育て,一人一人が豊かな心を育み,幸福な未来を創り上げるために,感性や創造性,そして情操を培う大切な役割があります。 よさや可能性をもった子どもの力を信じ,子どもの思いに寄り添う指導が大切です。今,子どもの未来を託された大人一人一人の資質・能力が問われています。 さて,新学習指導要領に関する答申などに「感性を働かせて」という言葉が散見されます。「感性」が人間にとって,生きることの根幹にあるからこそといえます。感性は,誰もが体内に宿していますが,小さきもの弱きものなど様々な対象や事象に触れて磨かれます。「感性」を考えるとき「競い合い」からは生まれません。「認め合い」から生まれます。「競い合い」からは,勝者と敗者が生まれます。「認め合い」からは,一人ひとりのよさが際立ちます。「競い合い」は 数値化できる 量が決め手です。「認め合い」は それぞれの心が決める 質が決め手です。図画工作は「感性」をもとにして「学び合い・高め合う」教科です。 感性は「磨き合い」豊かになるのです。 今日も,学校で子どもたちのつくりだす喜びの声が響き,感性が磨かれています。子どもの絵は表現することの喜びの証あかしなのです。あとがき■ もしも図画工作がなくなってしまったら…