ブックタイトル造形のABC
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造形のABC
9子どもの「つぶやき」の秘密「つぶやき」は資質や能力の表れ私たちは,感動したときや驚いたときに思わず「つぶやき」ます。大人になると「自己内対話」など,はっきりと外へ表出することは少なくなりますが,子どもの場合は「いいこと思い付いた!」など,考えと行動,そして「つぶやき」が一緒になることが多いものです。この「つぶやき」(自己内対話)は,絵をかいたり,ものをつくったりしているときに多いことに気付きます。着彩のとき「この色ちょっと薄いなぁ」,工作のとき「もっと,底を広くしないと倒れるかなぁ」などです。これらの「つぶやき」には,図画工作や美術で育てたい資質・能力が表われています。発想や構想の場合には「いいこと考えた!」に代表されるようなアイデアが生まれたときです。「違う材料にしたら…どうなるだろう」など,試してみようとする「つぶやき」もあります。一方,「もっと,明るい色に変えてみよう」など,技能や技法に関わる「つぶやき」は,創造的な技能に分類されるでしょう。「つぶやき」は評価や題材の改善につながる子どもが熱心に造形活動に取り組むとき,そこに資質・能力が働いています。再現的な絵をかくような題材では,「似ている・似ていない」などに関するつぶやきが多くなります。これは,目標が1点に集中することで生まれるつぶやきです。子どもが考えを巡らせたり,工夫したりすることが少ない題材だともいえます。いちばんいけないのは,「作業」のように,ただ手を動かして同じようなものをつくることです。そこでは,主体的で創造的な思考の働きが委縮して,つくることに無関係な「おしゃべり」が発生します。また,子どもの「つぶやき」を聞き取れる距離に先生がいることが過程の評価を可能にします。子どもの活動している姿を見取る新しい学力観の評価にぴったりなのです。子どもの活動のプロセスを知ることで評価できるのです。12