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概要

造形のABC

10「なんかいいね」は図工の言葉「なんか,いいね」を感じ取る私たち図画工作・美術の世界には,つぶやきのように「声にならない言葉」もあります。感動したり心が動いたりした瞬間に発せられる「ここ,なんかいいね」なども,はっきりと説明できないけれど,伝えたいときに出る言葉です。その他にも,「へぇー」「すごい」などは,驚いたときに現われます。「やっぱり」などは,予測したことと結果が同じになったときに出ます。また,「たしかに」「なるほど」などは,実感を伴うものや,納得したときに,つい口から出てくる言葉です。ここに子どもを理解する上で,大切なヒントがあります。問わず語りのように,自ら自然に口から出る言葉を大事にしなければなりません。仕草や態度にも表れる本当の自分私たちの何気ない行動や仕草,そして表情にも,その人の考えや感じ方を読み取ることができます。「顔色を読む」などは,よい意味で使われることが少ないかもしれませんが,先生としての大事な資質・能力です。子どもの表情や態度から健康状態も察知することができます。私たちは他から常に情報を察知しながら行動を起こしています。顔色を読んだあとの指導が大切なのです。*)図画工作の評価は,「過程重視」を謳っています。何をどのように評価するかとなると,とたんに逃げ腰になりますが,普段先生方が行っている「一人一人の子どものよさを感じ取る」ことと同意義です。「なんかいいね。ここのところ」「○○さんらしい色だね」など,通じ合える関係の中で共有できる感覚です。発表の仕方や説明の方法ばかりに目がいくと,子どもの真意は見えないままになります。「なんかいいね」の,その先にあるものを,子どもと一緒に感じ取ってください。*)前田泰樹・水川喜文・岡田弘光編『エスノメソドロジー-人びとの実践から学ぶ』新曜社200713