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概要

造形のABC

13「創造的な活動」が未来をつくり出す創造性を育てる教育基本法の前文には,「豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成」が掲げられています。「創造」とは,人間がその過去の経験を深く見つめ,その中から必要なものを取り出して結び付け,新しい考えをもったり,新しいものをつくったりする行為です。創造性の育成にあたっては,子どもの主体性や自律性を尊重し,すべての教育活動で培う必要があります。*1)造形活動は能動的な学習「創造」は,ものごとに対して既成の概念にとらわれず,自分自身の目で見る態度や精神から生まれます。この精神的志向は,幼児期から育むことができます。その大きな役割を果たすのが造形活動です。*2)絵をかいたり,ものをつくったりする造形活動は,知識を受動的に吸収するような活動ではなく,自ら進んで体全体の感覚を働かせて獲得する能動的な行為だからこそ,実感が伴い能力も態度も身に付くのです。未来をつくる創造的な活動ここでいう「創造性」は,芸術家のような専門的なものを指しているのではありません。マズローのいう「自己実現の創造性」*3)であり,誰にでもあり,その人にとって価値ある経験です。「いいこと考えた!」という子どもの声が響く活動では,「創造性」が養われています。まずは,子どもの「いいこと考えた!」に耳を傾け寄り添うことです。「いいこと考えた!」に代表される想像力の伸長を基盤とする活動が保障されることで,子どもはつくる喜びを感じ,豊かな情操と創造性が一体的に育成されるのです。ヴィゴツキーは「人間の創造的な活動こそが人間が未来を向いていて,未来をつくりだし,自らの現状を変えるような存在にしている」*4)といいます。「創造性の育成」は私たちの未来をつくり出すのです。16*1)高須一『初等教育資料No.830』東洋館出版社2008*4)ヴィゴツキー著・広瀬信雄訳『子どもの想像力と創造』新読書社2002*2)鬼丸吉弘『創造的人間形成のために-子どもの絵を考える』勁草書房1996*3)恩田彰『創造性の研究』恒星社厚生閣1971