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概要

造形のABC

14対象に働きかけるということ教科は窓子どもは対象をみている子どもにとって教科とは何でしょうか。佐伯胖は「教科とは窓である」*)といいます。子どもが見ているのは,窓枠ではなく,窓の向こうに見える「文化的価値のあるもの」です。先生は,窓枠の向こうにある文化的価値のあるものを「教材」として,「窓を見てごらん」と声をかけて,子どもの関心や興味から意欲を引き出し「学びの成立」を支援することを仕事としています。ですから,窓の向こうの文化的価値は,子どもにとって魅力的であることが大切です。「対象」に働きかける子どもの造形活動子どもは窓から見える「対象」に価値を見出して活動します。造形遊びの場合は「材料」と「場所」が主な対象です。「おもしろそう」と子どもは意欲的に対象に働きかけながら,その対象から働きを受けて,様々な能力を駆使してつくりたいものをつくり出そうとします。子どもの活動と「教材」としての文化的価値子どもは「対象」を見ています。文化的な参加を促す価値ある「対象」は,子どもにとって取りも直さず「おもしろい」ことです。それは,好奇心が揺さぶられ,自らの創造的な行為を保障されるものでなくてはなりません。自分の手で変化を起こすことができるとき,そこに「つくりだす喜び」があります。子どもは他者とともに「学び合うこと」ができ,成長を感じることができる「対象」を感じ取っているのです。先生には「対象」となるものを予め,吟味しておくことが求められます。それが教材研究であり,題材を設定する上での重要な要素となります。子どもの発達や興味・関心,地域や学校の実態が教材研究の基盤となるのです。「対象」が「おもしろい」と子どもたちは意欲的に学びます。その姿を想像しながら,先生の教材研究は今日も続くのです。*)佐伯胖『岩波講座教育の方法3子どもと授業』岩波書店198717