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概要

造形のABC

17はじめに行為ありきの造形遊び造形遊びの授業の充実造形遊びでは,大いに「主体」が発揮されます。活動を通して「自分がつくり出した」「自分で選んだ」というように「主体者は自分である」ことの経験を積むことで「自信」を育むことができます。また,主体性は周りの人に受け入れてもらえたという感覚を積むことでさらに得られます。ですから,結果に重きを置かない造形遊びは「過程を楽しむ」「過程から学ぶ」ことを大切するので,「過程」が自分を育てていることを自覚することができます。はじめは行為から造形遊びの授業の成立条件は,低学年は「体全体・材料」,中学年は「体全体・材料・場所」,高学年は「体全体・材料・場所・状況(時間など)」です。そして,活動は「行為」からはじまります。子どもたちは活動の中で,生まれたイメージをもとに,友だちと学び合い,さらにつくりたいものを広げ深めるのです。ステージアップする授業子どもの挑戦しようとする意志や造形性をどこに向けていくかです。高学年の造形遊びであれば,「状況をつくり出す」「新たなこと4 4を起こす」などが考えられます。例えば,新たな材料の追加や状況の変化など,新たに深化する課題が生まれることです。ですから,光が集まる時刻と場所を想定して,日の光を受けると見えなかったものが光の形となって現れる仕掛けをつくるなども考えられます。低学年や中学年と同じように,その時間や場所だけの楽しみではない活動が,高学年の造形遊びに求められます。一人一人の子どもたちの「背伸び」と「ジャンプ」*)を保障することです。実際に体験すると,予想したことと違うことが起きます。そのズレをばねにつくり直すことなど,将来に向けて,大切なことを学ぶ場が「造形遊び」です。子どもは「ジャンプ」してはじめて,いままでにない,新しい自分を発見するのです。20*)佐藤学『学校を改革する-学びの共同体の構想と実践』岩波ブックレットNo842 2012