ブックタイトル造形のABC
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造形のABC
22形や色をとらえるということ図工における「奥行き」の指導私たちは普段,形や色,奥行き,動きなどをとらえて生活しています。生活でとらえているからといって,三次元を二次元の平面に表すことは簡単ではありません。幼児期には展開図的な表現があり,小学生になるとものとものとの重なりが生まれて透視図的な見方が進み,中学生くらいになると大人の奥行きのある表現になるのです。また,消失点のある透視的な絵は中学校以降の学習によって獲得します。ですから,大人の「奥行き」が先にあって,指導をあと付けすると,形式的には大人のような絵になりますが,子ども自身の力で獲得したものではありません。「とらえる」や「もつ」は主体的な行為表現と鑑賞の活動の両方に働く資質・能力の[共通4 4 4事項]には「自分の感覚や活動を基に形や色などの造4 4 4形的な特徴をとらえ」とあります。4 4 4 4 4 4「形や色をとらえる」や「イメージをもつ」は,子ども自身が,自らの意志で行われる主体的な行為です。先生が形や色を注入する(教える)のではありません。子どもが自分の力で自分の形や色を探し出すこと*1)に意味があるのです。石田徹也が描く「燃料補給のような食事」と題する絵には,ファストフード店で,ガソリンスタンドのようなホースで同じ価値観を注入される食事風景が描かれ,やるせない思いが漂います。「図工は子どもを選んだ」[共通事項]の新設のとき,「図画工作は子どもを選ん4 4だ」と感じました。造形性の理解ではなく「自分の感覚で」を含め,その主体を「子ども」としたからです。子どもが自分なりの意味や価値をつくり出すことです。人間本来もち合せている資質・能力を発揮して,新しい自分をつくり出すことです。子どもは表現や鑑賞の活動を通して,形や色をとらえ,イメージすることを楽しんでいるのです。*2)*1)石田徹也『石田徹也遺作集』求龍堂2006*2)岡田京子『初等教育資料NO.918』東洋館出版社201425