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概要

造形のABC

24「版に表す」と「版画に表す」は同じ?「版に表す」と「版画に表す」小学校学習指導要領の「内容の取扱いと指導上の配慮事項」*)には,「版に表す経験ができるようにすること」とし,版ならではの表現効果のある題材を設定することを求めています。4 4 4「版に表す」のであって「版画に表す」のではありません。どうでしょう「版画」と聞くと,版画の固定的なイメージがありませんか。「リコーダーを演奏する友だち」など,白と黒の配分が大人好みの版画の題材です。学習指導要領には「児童が工夫して楽しめる程度」とあります。手続きが多い活動は,どうしても先生の指示が多くなります。子どもが工夫できるのは,どこにどれだけあるのか,版にする「楽しめる程度」を吟味することです。児童画展のための作品づくりでは決してありません。子どもは思いを版に表す例えば,木版をつくるとき,子どもが求めているのは,彫刻刀で「サクサク」と木を彫り進める感触や,音などの木から返される抵抗感が楽しいのです。刷ったときも,何がどんなふうに写っているのか,期待するワクワク感です。その上での作品なのです。作品の到達点が予め「先生」の範疇にあって,子どもに,工程に沿って製作させるのであれば,それはもはや「作業」です。先生のイメージや固定的な「作品」にこだわる「版画に表す」ではありません。スタンピングやこすり出しになど,体を十分に生かした「版に表す」ことを楽しんだ子どもたちには窮屈過ぎます。印鑑のように押す「版に表す」もあれば,擦ることや刷ることで生まれる「版に表す」もあります。様々な経験を十分にさせることが,いまも,そしてこれからも,求められているのです。*)文部科学省『小学校学習指導要領第2章第7節図面工作』東京書籍200827