ブックタイトル造形のABC
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造形のABC
27新しい風が吹いている図画工作は資質・能力の教科「この授業では,子どもの発想や構想の能力をどのように身に付けていくのですか?」*1)という助言者の言葉で,若手の先生は体裁を捨て,子どもの資質・能力を育成することの重要性に気付かされたといいます。この転機は,若手の先生だけの問題ではありません。「もっと見栄えのする作品にしたい」「コンクールで特選をとらせてあげたい」「教室に飾ること,保護者に見せることばかり考えて…」など,先生自身の考え方に問題があるように思います。子どものよさを共有する授業研究最近,校内研修などの授業研究を通して,子どもの「よさ」(資質・能力)を互いに見取ろうとする先生方の研修意欲に接することが多くなってきました。*2)子どもの活動を見取ることで,図画工作や美術で大事にしようとする「過程」での評価が可能になります。「過程」にこそ「子ども」が現出することを実感することです。子どもが見えてはじめて,子どもの資質・能力の発揮をもとにした授業をつくり出すことができます。まじめすぎるがゆえに我が国の誠実で堅実な先生は,資質・能力を育成することをめざすと,それらを分断して,より分析的に授業研究を進めようとするところがあります。でも四つの観点別の学力は,一体的に働きますから,評価も指導も一体です。「ここ,いいね。○○さんらしいね」は,「評価」で,「ここは,これからどんなふうにするの?」は指導のための手がかりを得ていることになります。また,資質・能力が,順番通りに働くと考え「発想・構想」→「創造的な技能」→「鑑賞の能力」と決めて見取ると指導を固定化させることになります。つくったり,見たりする「表現」と「鑑賞」の活動は,いつも一体です。30*1)『初等教育資料NO.920~特集発想や構想の能力を育てる指導の工夫』東洋館出版社2014*2)佐藤学『専門家として教師を育てる-教師教育改革のグランドデザイン』岩波書店2015