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概要

造形のABC

28「授業研究」と「実践研究」先生たちが協同で培う「授業研究」我が国の学校文化には,「授業を通した校内研修」があります。授業を公開して,協議を重ね,日頃の指導に生かす独自の研修文化です。秋田喜代美は,授業の価値を「教師は日々授業を振り返り,目の前の子どもたち一人一人に良質の学びを保障することを目指して,自らも学び続ける。その営みにより授業の質は向上していく。この教師の学びの中心は,授業の研究である。」*)ととらえています。授業は子どもを育てるとともに先生も育てるのです。先生もまた,自ら学び合うことの意味を問い続けながら,さらに授業研究を進めることになります。先生のよさが発揮される「実践研究」「実践研究」もまた,学校文化の中で,教育の方向性を示す進歩的な研究です。もちろん「授業研究」と密接に関連し合っていますが,先生の独自性を基本にした実践を中心とした研究です。学ぶことへの欲求は,人間が本来もっている成長への欲求であり,学ぼうとし続けている限り,人は成長し続けていくことができます。授業研究も実践研究も,成長し続ける先生の挑戦の営みです。成長し続ける先生日々研鑽し,よい先生をめざそうとする人に,次のような言葉があります。「平凡な教師は言って聴かせる良い教師は説明する優秀な教師はやってみせるしかし最高の教師は子どもの心に火をつける」(ウィリアム・ウィード)子どもの心に火をつけるには,いまの私に何が必要なのか問い続ける先生の姿が浮かんできます。いざなここにあるのは「誘い」です。「~しなさい」という命令でありません。子どもが自分から学ぼうとするようになるために,何を「教える」のかを十分理解していることが大切なのです。*)秋田喜代美『学びの心理学-授業をデザインする』左右社201231