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概要

造形のABC

29学びと「いざなう」指導学ぶことを考える「教える」ことをはじめに考えるのではなく,子どもが「学ぶ」ことの意味を考えることです。先生が「教える」ことを第一義とする考えは間違いではありませんが,「教える」「理解する」「練習する」という反復学習に結びつきやすくなります。また,細かな指示・説明が多くなりがちです。子どもが「学ぶ」ことの意味を考え,めざす子どもの姿をイメージすることです。子ども自身に備わっている資質・能力を基盤においた「学び」が指導の方向を示唆しています。特に,情操を育てることを主とした教科では,柔らかな指導が,柔らかな心を育くむことを指導の理念とすることです。「集団主義」や「市場原理」は,柔らかで豊かな心を育てる教育を脅威にさらします。結果主義,効率主義からは遠いところにあるのが「情操」を育てる教育です。*1)いざな「教え」から「誘い」へ「教え」には,子どもと向かい合い,目と目を合わいざなせて教え導く姿が思い浮かびます。「誘い」*2)には,子どもと先生が同じ方向を見つめ,先生が傍らに寄り添いつつ「進んでごらん」と子どもを温かく見守る「支援」の姿が思い浮かびます。ですから,先生は育てたい力や想定される子どもの姿を熟知した上で,寄り添っていることになります。育てたい力をもとに具体的な授業をイメージするのが教材研究であり,具体的な「指導」につながるのです。「感情労働者」としての先生先生も,キャビンアテンダントと同じように仕事としては,様々な要求や要望に対していつも,にこやかに人と接することが求められます。それを仕事として割り切るか,要求や要望を「楽しむ」か,仕事に対する構えが,自然と態度に表れます。支えになるのは,教室の子ども,同僚そして家族です。32*1)佐藤学『子ども学第2号学びの質を高める教育』白梅学園子ども研究所無藤隆編2014*2)佐伯胖『幼児教育へのいざないー円熟した保育者になるために』UP選書東京大学出版会2001