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概要

造形のABC

36子どもを信じる進まない図画工作の研究平成時代になって新しい学力観に立脚した指導観が進んだといえますが,全国的に指導観が呼応しているとはいえません。児童画展に向けた指導や前年踏襲の固定的なカリキュラムの指導,セットもので時間数を消化する指導など,固定的な指導からは,新たな芽生えを感じることができません。「不安」が後ろ向きにさせる指導で一歩前に踏み出せない理由の多くは「不安」です。算数や国語であれば,「教科書」をテキストにして,「課題」を出して「答える」という大まかな構図をえがくと不安は小さくなります。でも,図画工作の授業が苦手という先生は,「何をさせたらいいかわからない」というところからはじまって,準備の膨大さや後始末の大変さ,そして,「評価」がわからないというようにつながっていきます。そのために,「方法」(どうしたらいいのか)を示したマニュアル式の「指導法」やセットものの題材に走ることになります。不安が「ゴール」を求める図画工作を得意としない先生たちから「結局,何をかいたり・つくったりするのか,見本があると目標がはっきりする」といいます。それも児童画展の傾向を見すえて指導する場合もあります。さて,「子どもを信じる指導」は,何も指導しないように見えますが,子どもを理解し,子どもの思いを醸成したのちの「子どもに委ねる指導」なのです。事前に,子どもの育ちを把握し,何をさらに育てるのか,先生の目を高く,広く,そして,少し遠くにおいて授業を考えることです。図画工作の答は一つではありません。10人10通りです。子どもの作品一つ一つが答です。子どもの作品は,先生同士の競争の道具ではありません。39