ブックタイトル造形のABC
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造形のABC
4心が動いて絵になる問題があるのは,子ども?それとも先生?:子どものかいた絵の空白が多すぎても,「終わりました」と子どもがもってきたときにどうしたらよいでしょうか。:「余白恐怖症」は誰かというと,子どもではなく,ほとんどが先生なのです。それも低学年や幼児期を担当する先生に多いのです。「伸び伸び元気に画面いっぱいに!」という観念が先にあるためです。やはり,具体的に子どもの話を聞きながら,子どもの思いを受け取ることです。その上で,技術的な問題でかけないのか,発想が広がらず終わってしまったのか,ズレを埋めていく対話が必要になります。子どもの思いに対して,いくつかの提案し選択させるなどの方法も考えられます。やはり最終決定は「先生ではなく子ども」であることを基本とします。でも,「終わりました」という子どもの背後にある心を察知することが指導の原点です。「先生!もっとかき続けたくなるような題材考えてよ!」という心のつぶやきの裏返しと感じられるかです。心が動いて絵になるのです。その指導で子どもの心は動きますか。1題材に魅力があったか行事のあとの「ぶっつけ題材」のように「遠足で楽しかったことをかきなさい」といっても,思い出しても楽しくない,かきたいことがみつからないなど,題材設定を考えることです。2環境設定として材料や用具で工夫するところはなかったか「画用紙が大きすぎて,手に負えず,空白になる」「低中学年で鉛筆,絵の具という繰り返しで新鮮味がない」など,子どもの不安・不満によってかこうとする意欲が萎縮している。紙の大きさを選べるようする。紙の形を変えてかいてみる。ケーキの空き箱を開いて,カラーペンで絵をかき再び箱にする。太筆のみを使い鉛筆による下絵なしの絵に挑戦する。ビー玉に絵の具を付けて転がしてかくなど遊びを利用した絵にするなど,従前の絵画観(大人の絵)を捨て,伝統的な指導観から脱却するなどいろいろ考えられます。3個人差にも配慮した時間設定であったか「時間が保障されず,かきはじめたら,終わりの時間になった。下絵のままで提出した」など,子どもの理由をいま一度考えることです。そこには,子どものゴールと,先生のゴールにズレがなかったか。先生のゴールがどんなものを設定し,何を求めていたのか。例えば「休んでいたので,余白が多いのはしょうがない」「掲示するとき,他の子どもと差が多いので,保護者に説明できない」「展覧会に出すには見劣りする」など指導のあり方を再考することです。しかし,「最後まで粘り強くかくという約束から」「いつもいい加減な製作しかしないので,達成感を味わわせたいから」などの先生側の理由はあります。基本は「自分できめる」という子どもの主体性と自立のバランスです。子どもに何を委ねるのかはっきりさせ,先生は個別に対応しながら実現に向けた支援を続けることです。46