ブックタイトル造形のABC
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造形のABC
はじめに子どもありき私たち大人は,子どものころの豊かな感性をどこかに置き忘れてきたようです。それは,あのときだったのかもしれません。道端で小さな体を丸め震えていた子ズズメを,見て見ぬ振りをしてしまった寒い朝。ダンゴムシを手のひらで転がして喜んでいたのに,見るのも嫌になってしまった夏の夕暮れ。水にぬれてキラキラ光る石ころに心が動かなくなった昼下がりの川遊び。いま一度,私と,ほんの少しだけ,その感性を取り戻しに行きませんか。遠くに行く必要はありません。目の前の子どもの息遣いを感じられればいいのです。何かに驚き,何かに目を見張り,何かに心動いたそのときの子どものつぶやきに耳を澄ませるだけでいいのです。子どもは,かくこと・つくることが大好きです。夢中になってかいたり,つくったりしているうちに,いろいろとアイディアが浮かんできて本当に楽しそうです。絵をかいたり,つくったりすることはおもしろいのです。子どもは「いいこと思い付いた!」と,自分で考えたアイディアを試していくうちに,どんどんつくり出すことがおもしろくなって,気にしていた手の汚れさえも気ときにならなくなります。子どもの心に「子どもスイッチ」が入った瞬間,「子どもの時間」がはじまるのです。そして,子どもと「子どもの時間」をともにすることができるのが「造形(図工・美術)の時間」なのです。でも,その「子どもの時間」がなくなり,絵をかいたり,つくったりするときの子どもの気持ちがだんだんしおれ,みずみずしい心さえも曇っていくのだとしたら…。そして,その一端が学校教育や私たちの指導にあるのだとしたら…。一緒に図工・美術がもっと好きになる「造形のABC」を考えてみませんか。3