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概要

子どものABC

7子どもの安心圏内内から見る子ども緊張の連続から抜け出て自分の時間や空間に入ったとき,身も心もほっとした状態になるときがあります。6月頃のある日の休み時間,絵を書いていた1年生が,私(先生)のことを「ママ。……!」と呼んで,そのあと照れくさそうにはにかみました。その子の安心圏内に,一瞬,私が入ったときの出来事でした。緊張が続いた入学期のころから,少し慣れ始めて「自分を教室の中に置くこと」ができたときでもあったのです。誰にでも,自分の安心圏が必要です。安心圏がつくれず,日々の生活が緊張の中にあるとしたら,豊かな心が育つわけはありません。戦火や自然災害に追われる状況下では,安定した心の安心圏など得ることもできません。温かな家族の中で育まれる「安心」は,どのような状況に置かれても強い支えになります。学校でも先生が何より大切にしているのが「心の居場所」です。家庭に「心の居場所」がある子どもは学習や友人関係から大きくはみ出ることはありません。やはり基盤は「家庭」です。学習用具の準備や持ち物の一つ一つにていねいに書かれた名前など,子どもの所作から「家庭」の姿が浮かんできます。でも,時折,朝ごはんを食べずに登校したり,夜遅くまで親と一緒にゲームをしていたりするのを聞くと,子どもの心の向こうに「家族」が見出せないことがあります。成長する11