ブックタイトル子どものABC
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子どものABC
9発達すること学ぶこと学ぶということ子どもが成長するとか発達するというのはどういうことでしょう。何か教えられたり,学習したりしてできるようになることと区別して,発達心理学では,なぜか「できるようになっている」事態を指しています。その学んだことは「暗黙知」1)や「身体知」とよばれ自分の体に内在しているのです。なぜできるようになっているかの諸説はありますが,現在主流になっているのは,さまざまな能力が相互に関係し合って構成される「構造」が整い,自ら対象に働きかけ,そして,その対象から働きを受けるような社会的な相互交渉によってネットワーク化され,一気に能力が高まり身に付くという考え方です。2)ですから,私たちが学習するとか学ぶというのは,文化や社会の中に埋め込まれていて,人と人,人や社会との交わりなどから影響を受けながら発達しているというのです。幼稚園や保育所の砂場や園庭で繰り広げられる子どもにとっての「遊び」は,「学び」の場なのです。そこで大きな力になるのが「共感」3)です。他者の考えを類推したり,他者の立場で考え行動したりすることで,一層磨かれるのです。他者とともに生きるための知恵としての能力が培われ,社会的関係の中で「よりよく生きる」ための知性が発達するのです。人間は「学ぶ」動物です。学びを放棄したとき,人間は人間でなくなってしまいます。その学びの原点はあかちゃんにあります。成長する1)中村雄二郎『臨床の知とは何か』岩波新書19922)佐伯胖『幼児教育へのいざない円熟した保育者になるために』UP選書280東京大学出版20013)佐伯胖『共感育ち合う保育のなかで』ミネルヴァ書房2007*)佐々木毅『学ぶとはどういうことか』講談社201213