ブックタイトル子どものABC
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子どものABC
28「もの」より「こと」かけがえのない「時間」「もの4 4は見える,こと4 4は見えない」見えるもの,手で触れることのできるもの4 4は,具体的であり,説明できるので西洋では尊ばれています。一方,日本的と呼ばれるものには「こと4 4」があります。今ここにある「こと4 4」です。状況であり主観的である雰囲気も含んだものです。1)かわず芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」の古池や蛙などの「もの」一つ一つ取り上げても,この俳句の奥深さを表すことにはなりません。この俳句から広がる深遠さは,時間さえ取り込んでいるところにあります。こことことの俳句のように,「事」を「言」にしようとするときに言葉が生まれ,人に伝えることができます。子どもは本来「こと」が大好きです。「もの4 4」より「こと4 4」です。遊ぶこと,つくること,いっしょにいることなどです。大人の考える「つくるもの4 4(作品)」ではなく,つくることそのことが好きなのです。いっ4 4 4 4しょにいることも好きです。親が与えることのできる最上のことは,子どもと「時間」を共有することです。でもどこか遠くにいくとか,遊園地にいくことが大切なのではなく,親子で散歩する,いっしょに近所の公園で遊ぶなど,普段の何気ない「時間」を互いに共有することが,かけがえのないことなのです。そこに愛すること,信じること,日々を大切に生きることがいっぱい含まれています。私たちにできることは,当たり前のこと,普通のことを,一つずつ心を込めて行うことなのです。341)木村敏『時間と自己』中公新書674中央公論新社1982*)古東哲明『瞬間を生きる哲学』筑摩選書2011*)加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書房2007