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概要

子どものABC

30愛すること「愛する」の反対は無関心親は何も求めない無償の愛をもって,子どもを慈しみ育てます。しかし,時には感情をぶつけたり,受け入れたり,悩み苦しみながら子どもを育てます。「愛する」こととはどのような在り様をいうのでしょうか。憎しみは,まだ相手のことに意識が向いています。でも無関心はその対象にすらなっていない状態のことです。「好き」と「愛する」は同じような意味に感じますが,「愛する」とは,その対象に惹かれて,その価値を認め尊敬し,なじんでいくことです。一時の感情の表れではありません。そこには冷静な判断も求められるのです。「好き」は「愛する」ことの入口にあります。どうして,人間にはこのような感情が育つのでしょうか。赤ちゃんのとき,親に見つめられ,反応を返すと親からも反応が返ってくるという「まなざしの往還」が,親への期待とともに,「自分」という存在を意識する原点になっていると考えられます。「期待に応える,応えると認められたという喜びになる」ことを幼少から与えられている子どもは,自分をかけがえのない存在だと感じ,自己を確立することができるのです。関心を向けることがはじめの一歩です。興味をもつという自発的で主体的な行為から生まれます。誰もがもっている好奇心が,その行動をつくりだします。36*)ポール・ブルーム著春日井晶子訳『赤ちゃんはどこまで人間なのか心の理解の起源』ランダムハウス講談社2006*)小西行郎『赤ちゃんと脳科学』集英社新書2003*)フランス・ドゥ・ヴァール著柴田裕之訳『道徳性の起源ボノボが教えてくれること』紀伊國屋書店2014