ブックタイトル子どものABC
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子どものABC
はじめに「思い」が子どもを育むこの世の中は「思い」で,できています。動物園でも見る人の思いの違いによって,檻の中の動物に対して「ああ故郷の夢を見ながら草原を自由に走りたいと思っている」という見方もあれば,「食べるものを心配しないでいるから喜んでいる」という考えもあるでしょう。しかし,おそらく動物は置かれた環境で生きる営みをしているだけなのです。その動物を見る人の「思い」が交錯して様々なイメージが生まれます。この思いは「想像」の産物なのです。子育てを通して私たちは,お母さんのおなかの中ですくすくと育っていたあのころも,元気な赤ちゃんが生まれてほしいという思いに包まれていました。入園や入学式の前夜の寝顔を見ながら,これまでの成長の喜びを感じるとともに,これからも健やかに育ってほしいという願いや思いが一層強くなっていったのではないでしょうか。思いは「命」です。「命」を支えるのも「思い」です。私たち大人の役割は,この「命」を支えることです。自然の営みの中で永々と続く,この「命」を支える仕事(子育て)ほど,尊いものはありません。子育ては700万年前から永々と続く人類の歴史そのものです。その子育てに正解などあるのでしょうか。「人生にも,子育てにも,きっと正解なんてありません。いつも迷いながらだけど,その時その時でベストを尽くしている実感を信じてやっていくしかない。」1)と,子育てを実感しながら現実を生きているのです。今を一生懸命生きることなのです。「大自然は人の子を生むだけではありません。これを育てます。これがほんとうの教育です。人はその手助けをします。これを人は教育といっていますが,ほんとうは教育の手助けなのです。」2)私たちは,自然の大いなる力のもとで,様々な人やものの力を借りて,今を紡いでいるのです。1)川上未映子朝日新聞2015.11.23「キミとどたばた」から2)岡潔『情緒と創造』講談社20023