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概要

子どものABC

1生きるということ学ぶことと生きること子育ては,常に現実を踏まえて行われますから,少し前のことやずっと前のことは忘れてしまいます。大人になると,自分の子どもの時のことも,やはり忘れてしまいます。「忘れる」からこそ前に進めるのかもしれません。でも,大人になっていない子どもたちは,新しい自分を見つけようと今日も,自分で「自分」を学んでいます。成長する生きることは学ぶこと子どもが生きるということは「学び」です。「生きるとは手をのばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり」*)という俵万智の短歌があります。ここには,31文字に込められた我が子への温かなまなざしがあります。これは,赤ちゃんの確かな成長の証なのです。枕元にあるプーさんのぬいぐるみの鼻を視覚でとらえ,鼻までの距離や方向を推定します。鼻に向かって手を伸ばすが,なかなかうまくつかめません。方向や指の開閉を修正し,そして,つかむのです。これは赤ちゃんにとっての「学び」であり,「喜び」でもあります。「自己肯定感」の原点は,ここにあります。この成長を親や周囲の人が,温かく見つめ認めることで,一層高まりを生み出します。挑戦し,失敗しながらも,粘り強く試みて,ついには成功する「喜び」を感じ取ります。そのときの子どもの思いは「命」です。これが成長であり,学びの獲得なのです。*)俵万智『プーさんの鼻』文藝春秋20055