ブックタイトルまなびと+(プラス) Vol.9
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まなびと+(プラス) Vol.9
です。大学の授業を開始するに当たって、最初にオリエンテーションとして自己紹介がてら「私」について語ります。豊かな人間関係の醸成とは実はこのような積み重ねによってつくられてくるのだと思っています。大学での自己紹介の内容は、●私の生い立ち、●私の学校生活(小中高等学校)、●大学生活と教員志望、●教師になってから、●管理職になってから、●私と家族、●趣味や特技。これらをP・Pでかつての写真等を提示しながら語ります。学生は興味をもって聞いてくれます。実はこのP・P画面は、校長の時に6年生の総合的な学習の時間に「将来の自分について」という学習で6年生に話した(語った)時の資料が基本となっています。子どもたちも興味をもってよく聞いてくれていました。(3)道徳の時間では、子どもが自分を「語る」道徳の時間においては「資料・教材」が大きな割合を占めます。資料のない道徳の時間の指導はあり得ません。そこでは、「資料を勉強する」のではなく、「資料で【人としての生き方】を勉強する」のです。主人公に投影して自分を語らせるのです。知っていることや聞いたこと、見たことをそのまま話すのではなく、それらをもとに自分の生き方について語り合う時間が道徳の時間なのです。そして、その中から「よりよい生き方」を自ら探し出すことが学習のねらいとなるのです。教師は、子どもたちが「自らの生き方の軸を見つける」お手伝いをすることとなります。「知識」「見識」という言葉があります。知識とは字のごとく知っていることです。知っていることに基づいて自分なりの考えや思い、見解を持つことが大切です。そうでなければ単なる「物知り」にすぎません。知識?見識に引き上げるところに人間的な成長がみられるのではないでしょうか。道徳の時間もそんな時間にしたいものです。子どもたちや先生が互いに語り合って、高め合う時間に。たんしきもう一歩、肝が据わった「胆識」もほしいところですが。(4)資料・教材は教師が「語る」道徳の時間は「資料(教材)提示で決まる」と言われます。質の高い資料を用意することはもちろんですが、その資料をどのようにして子どもたちに提示するかが道徳の授業においては非常に重要な要素となってきます。私自身恥ずかしい限りではありますが本当にこのことを実感として理解したのは、50も半ばを過ぎた頃でした。耳にはしていましたが、実際の授業(校長になってからも自校を中心として授業実践をしていました)を通してその意味するところを自らのものとして実感し、理解しました。子どもたちの反応が明らかに異なるのですから。そして、資料提示後の授業展開も今までとは比べものにならないほど質の高いものになります。若い教員が道徳の授業で苦労していました。徹底して資料提示を練習させました。結果、授業が見違えるほどステキになりました。単に話合いのテキストを読むのではないのです。私は「資料を読む」のではなく「語る」と言っています。学習指導案にもそのように記すようにしています。資料(教材)を何回も何回も読み、自分のハートに落とし込み、自らの心の言葉として子どもたちに語ることによりその心が子ども一人一人に伝わっていくのではないでしょうか。そして、「間」と「余韻」を大切にしながら「節や抑揚をつけてよむ。朗読するように(広辞苑)」語ることです。まるで1つの作品のように子どもたちの心にプレゼントしたいものです。心の玉手箱として。3次回にむけて次回は、もう少し「資料・教材を語る」についてこだわってみたいと思います。もう一つは、アクティブ・ラーニングです。しばらくは道徳授業の進め方になるでしょうか。また、よろしくお願いいたします。Profile大原龍一先生明星大学准教授青山学院大学兼任講師横浜国立大学教育学部(社会科・哲学倫理専攻)卒業。東京都教員、教頭、校長を経て現職。東京都小学校道徳教育研究会の役員、全国小学校道徳教育研究会の会長等を務め、都や全国の道徳教育の充実・発展に携わる。平成24年度、町田市立町田第四小学校において全国小学校道徳教育研究大会を実施する(全小道研会長、当該校校長)。ライフワークは道徳性の評価に関わる研究。主にピアジェ、コールバーグ、アイゼンバーグを取り上げる。