ブックタイトルサクサクできる!パズル型スタートカリキュラム作成支援ツール「サクスタ」

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概要

サクサクできる!パズル型スタートカリキュラム作成支援ツール「サクスタ」

スタートカリキュラムの考え方と方法和田信行(東京成徳大学)Ⅰスタートカリキュラム(略称スタカリ)の考え方とが,学習指導要領でも求められています。スタカリでは,生活科や国語,音楽,図画工作などと合科的・関連的に行います。このことによって,生活科を核にした活動を行うことができます。たとえば,生活科の学習指導要項における「学校と生活」の内容を踏まえ,「がっこうたんけん」の活動を工夫することによって,45分の授業の工夫を図ることができます。自己紹介をするために,自分の好きな絵を描いたり,幼稚園や保育所等のことを話したりすることも合科的・関連的にできます。また,学校を探検し,図書室で絵本を見たり,音楽室で6年生と一緒に歌をうたったりするのもよいでしょう。(3)教科のスタート学習「小学校に入学したら勉強をしたい」という子どもも多くいます。内容構成1と2の内容だけでは子どもは満足しません。スタカリの中に,教科のスタート学習も取り入れることが必要です。国語や算数など,教科書を使った学習も取り入れていくようにしましょう。スタートカリキュラムの考え方と方法1なぜスタカリが必要なのかスタカリを小学校生活への適応指導ととらえていないでしょうか。トイレ指導,ロッカーの使い方,廊下歩行,登下校指導,給食指導等々の指導をすることがスタカリと考えるのは,狭い考え方です。このような指導は,従前からどこの学校でも行っていました。スタカリとは,「小学校の学習や生活に滑らかに接続できるよう工夫された入学当初の指導計画」です。幼児期からの「子どもの成長と学びの連続性」という視点から考えることが大切です。学びの芽生え協同的な学び等滑らかな接続・段差の解消段差幼稚園・保育所アプローチカリキュラム・アプローチカリキュラム【入学式】2スタカリの内容構成スタカリを作成するときには,以下の三つの内容を取り入れて構成します。生活科を中心にした活動等(1)幼稚園や保育所等の遊びを生かした楽しい活動小学校スタートカリキュラム就学前の幼児がスムーズに小学校の生活や学習に適応できるようにするとともに,幼児期の学びと小学校教育につなげるために作成する,幼児期の終了前(5歳児の後半)に実施するカリキュラム。幼稚園や保育所等では,遊びを通した総合的な活動を基本としています。園児は,「砂遊び」「お絵かき」「鬼ごっこ」「シャボン玉遊び」「手遊び」「お店やさんごっこ」等々の様々な遊びを楽しく経験してきています。小学校入学直後の子どもの気持ちを考えてみると,「新しい校舎での生活への不安」「新しい友だちへの不安」「勉強への不安」等々でいっぱいです。入学式直後の数週間,幼稚園や保育所等で経験したことのある遊びを取り入れることにより,学校生活を安心して楽しくスタートできるようにしていきます。遊びを生かした楽しい活動には,次のような効果があります。1誰もが経験をしたことのある遊びは,安心して取り組める。手遊びの「グーチョキパーで何つくろう」などの活動は日本全国のほとんどの幼稚園や保育所等で行われており,知らない子どもはいないでしょう。2遊びは,友だちとのかかわりを高める。初めて出会った友だちともすぐに仲良くなれます。教師は子どもの参加状況を把握しやすく,集団になじめない子どもへの適切な指導を行いやすくなります。3遊びを通して生活する力が高まっていく。幼児期に近い活動を通した指導方法を取り入れることが,この時期には必要なのです。生活の仕方や友だちとのかかわり方を,活動しながら実行できるようになります。(2)生活科を核にした合科活動入学直後から,6年生と同じ時程での生活には無理があります。45分授業,5分休み,チャイムによる着席指導等に,急に適応させることは難しいでしょう。スタカリは,このような従前の小学校の教育方法を少し変えていこうとするものです。この時に,生活科を核にして合科的・関連的な手法を取り入れていくこ1スタカリ作成上の留意点(1)いつ作成するかスタカリを作成するのは新1年生の担任が決まってからでは間に合いません。4月入学式直後から始まるので,原則としては,前年度の2月から3月に作成をしておくことが必要です。(2)だれが作成するのかスタカリがまだ作成されていない学校では,2学期あたりからスタカリ作成委員会を立ち上げ,準備をします。教務主任,現1年生担任,生活科主任等が委員となり,組織として対応していきます。ところで,計画的にスタカリが作成されていない場合もあるかと思います。ここで紹介する「サクスタ」は,個人でも,4月からでも,簡単に活用できる心強いツールです。次ページより具体的に解説します。(3)行政の支援スタカリの作成が進んでいる地域では,行政の保幼小連携に対する理解や取り組みが積極的に行われています。行政にも,積極的にスタカリ作成の支援をしていただきたいものです。学力向上の一手はスタカリにあるといっても過言ではありません。2スタカリ実施上の留意点(1)学内組織を生かしてⅡスタカリ作成・実施上の留意点スタカリを実施する場合,学校全体でスタカリを理解し,協力していく体制がないと効果的な実施はできません。従来の学校の時程や指導の方法を変えていく新たな取り組みですから,全教職員の理解と協力が必要です。スタカリを実施していくためには,学校長の強いリーダーシップが求められるのです。(2)計画に柔軟性をスタカリは子どもの実態に応じて適宜カリキュラム改善をしていく必要があります。実施中はもちろん,次年度に向けてのカリキュラム評価・改善をしていく必要があります。(3)家庭との連携をスタカリを実施する場合,保護者への説明など家庭との連携が必要です。従来より行なわれてきた授業のイメージと異なる部分もあるので,スタカリの意義や方法について,保護者に説明をして理解を得ておくことも必要です。また,生活リズムを整えるなど,家庭の協力も必要となります。参考文献・和田信行著「小一プロブレムを起こさない教育技術」,小学館,平成25年3月・和田信行『スタートカリキュラム作成の留意点』,文部科学省,「初等教育資料」東洋館出版社,平成26年12月号,pp.6-94 5