ブックタイトル子どもとつくる図工の時間
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子どもとつくる図工の時間
40導入の場面 今回は「まぼろし」という言葉の解釈は子どもに委ね、それぞえのとらえ方で「まぼろし」を表現してほしいと思いました。花自体を奇抜にえがいたり、花を取り巻く環境にフォーカスしたり、自分自身を花に投影したり、様々なアプローチが出てくるはずだと思ったからです。 「まぼろしって何かな?」と問いかけると、「めったにないもの」「見つけにくいもの」「あるかないか分からない、夢みたいなもの」などと答えが返ってきます。「今回は、自分の思う『まぼろしの花』を見つけてほしいんだ」と重ねて伝えました。 また、自分の思う「まぼろし」のイメージを探るきかっけにしてほしいと思い、画用紙に地ぬりをする時間を設けました。「『自分の花に似合いそうな感じ』『こんな雰囲気の中に咲くよって感じ』と思う色を、自由にぬってみて」と言ってスタートしましたが、子どもたちはそれほど複雑には考えず、自分の好きな色を楽しくぬっている様子でした。 ある男の子が、「あ、すごい!」と声を上げたので見てみると、ローラーで青色をぬった上に白の絵の具を混ぜた瞬間、美しいグラデーションが生まれたことに感動していたのでした。何度も色を重ねていき、その子の中でだんだんと「空の色」のイメージになっていきました。活動の展開 その子は、今度は空の下に小さな花をかき始めました。「こんなにきれいな空の下に咲くことができる」ということが、その子にとっての「まぼろし」になったようです。「目に見えない花をかきたい」といって、筆に水だけをつけてかいていた子は、そこだけ地ぬりした色が薄くなって「透明な花ができた!」と驚いていました。真っ赤な画面に、少しずつ大きくなっていく白い花をたくさんかいていた子に聞いてみると、「雲の花が成長していくところ」と教えてくれました。川に映る人の顔をかいている子に「花はかかないの?」と聞くと、「人は一人一人がまぼろしの花みたいな特別な存在だから、水に映っているのは花なんだよ」なんて答えが返ってきてびっくり。それぞれが、えがく行為を通して「自分なりのまぼろし」を発見していく様子は、私にとってもすごくおもしろい光景でした。授業をおこなう2