ブックタイトル子どもとつくる図工の時間

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概要

子どもとつくる図工の時間

41Chapter 6 ● わたしの授業学びを振り返る 最後に、全体で作品を鑑賞する時間を設けました。子どもたちに作品を返却すると、「先生、こっちは○○さんの、そっちは○○さんのだよ」と友だちの作品をよく覚えていて驚きました。活動しながら、友だちのやっていることを実はしっかり見ているのです。 完成した作品が机に並ぶと、図工室がぱっと明るくなりました。普段は自由に見て回ることが多いのですが、今回は四人の班の中で自分の花について互いに伝え合ったあと、その班のおすすめ作品を一つ選び全体に紹介する、という流れにしました。作品のどんなところをどんなふうに伝えれば、みんながその花のよさを感じることができるか相談する中で、形の理由や色の意味、作者が込めた思い、班のメンバーがおもしろいと感じたところなどを言葉にして伝え合う様子が見られました。全体への紹介では、八班分、八つの作品を鑑賞しました。「遠くから見ると、さっきと少し違って見える!」と気づいたり、各班で練りに練った紹介の言葉に頷きながら聞いていました。「紙からはみだすくらいの大きな花がいいね」と感想をもらったクラスで一番小さい女の子がいました。その子が、花びらを一生懸命ぬっていたのを、みんなは知っていたのです。 紹介が終わったら、最後は自由に歩いてみんなの作品を改めて鑑賞します。どの作品にも、実はいろいろな思いがつまっていることを知った上で見ると、見え方が変わってきます。一目見て「おもしろい!」と感じたことを、「どうしてそう感じたのかな?」と立ち止まって考えたり、全体紹介のときに聞いた製作過程のエピソードなどがつながって、見ることがもっと楽しくなった様子でした。子どもの変容 授業が始まったばかりのときは、私も子どもたちも、「花」をえがくものだとばかり思っていました。けれど、授業が終わる頃には、「花」というイメージを借りながら、それぞれの思う「まぼろし」を表現していたのです。自分の行為や実感、思いなど、実際にやってみて見えてきたことが、それぞれの頭の中にぼんやりと存在していた「まぼろし」のイメージに形を与え、表現が深まっていったのではないでしょうか。授業をとじる3▼「たいふうのときにさく、はなのいえ」液体粘土を混ぜた絵の具をぬっていたとき、モワモワした雲みたいだなと思いました。だんだん台風のようになって、中から家の形が生まれてきました。