ブックタイトル子どもとつくる図工の時間

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概要

子どもとつくる図工の時間

6を残しておくことを意識しています。たとえば、先ほどの「オモテとウラ」の授業を考えているとき、「じゃあ先生、ボールみたいな形のものをつくってもいいの? 表か裏か分からないよ?」などとヘリクツを言いだす子もいるだろうなぁと思いました。けれど、そういうツッコミどころはあえて残しておくことにしました。「ああしなさい」「これはダメ」と教師が活動の枠を一方的に決めるのではなく、子どもから教師に向かってこられるような「余白」もあったほうがいいと思ったのです。 授業は教師の一人よがりではなく、「子どもといっしょに」つくるものです。教師が授業に込めたメッセージを受けとった子どもたちは、それぞれが感じたことや考えたことを、行為や言葉、作品などに表して教師に返してきます。それを受けて、もし「思いがうまく届いていないかもしれない……」と思ったら、個別に声かけをしたり、ときには思い切って授業の展開を変更したりして、軌道修正します。 こうした「教師」と「子ども」の双方向のやりとりを繰り返しながら、授業は進んでいくのです。授業研究のすすめ 授業は教師と子どもたちのやりとりで進んでいきますが、子どもの反応を完全に予測することはできません。授業はまさにライブです。どんなに念入りに計画を立てても、思い通りにいかないこともあります。 ちなみに、先ほどの「オモテとウラ」は公開授業で実践したのですが、子どもたちが「見る基準」を定めるのが難しかった様子で、課題が残るものでした(授業後、ベテランの先生方から手厳しいお言葉をたくさんいただきました……汗)。 私は、教師の授業力には三つの側面があると考えています。第一に、授業を計画できること。第二に、計画通りに授業を進められること。そして第三に、当日の子どもの反応を見ながら、柔軟に対応できることです。私が「オモテとウラ」の授業をしたとき、もっと子どもたちの様子をよく見て、分析し、軌道修正して、立て直す第三の力があれば、子どもたちにしっかりとメッセージを届けられたはずです。この第三の力を鍛えていかなければ、授業をよりよいものに改善していくことは難しいでしょう。 では、どのように授業力を鍛えればよいのでしょうか。そこで私がおすすめしたいのが、本書のテーマである「授業研究」なのです。授業研究とは 「授業研究」という言葉を初めて聞く方もいると思います。授業研究とは、言葉のとおり「授業を研究すること」です。「授業を研究すること」で、自らの授業を改善することができます。 授業研究には、大きく二つの側面があると私は考えています。 一つは、「授業を構成する様々な要素について研究すること」です。授業は、実にたくさんの要素(図工であれば、材料・用具、場の設定、題材の提案、声かけなど)が組み合わさり、 影響し合ってできています。知っている要素の数が多いほど、授業を考えるときの視点が増え、授業の全体構造がどのようになっているのかを考えられるようになります。 二つ目は、「子どもを研究すること」すなわち「子ども理解を深めること」で授業研究で授業改善