ブックタイトル小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

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概要

小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

531 ねらいとはどんなものか社会科は,社会の見方・考え方を身につけさせることと,情報活用能力を育てる教科であるといわれます。単元のねらいを吟味するとは,その社会の見方・考え方を,しっかりと設定することです。ねらいは,調べ,考えていくうえでもっとも必要な資料は何かを考える,大事な視点となります。ねらいとは,人間が社会生活をしていくうえでの願いや大事なはたらきから生み出されるものであるといえるでしょう。たとえば大単元「安全なくらしを守る」についてみると,人間は自分の生命や財産を安全に守りたいという願いをもち,その願いを実現するために,警察や消防といったはたらきを創出しました。そして,そのはたらきがよく機能するためには,組織的で機動的であることが重要になります。つまり,事故や犯罪がおきないように平常から組織的に活動し,いったんおきたら,その解決に向かって機動的にそして組織的にはたらくことです。こうしたことから,この大単元のねらいを「組織性,機動性」としました。このように,各単元のねらいを,しっかりした背景をもって抽出することが大切です。こうしたねらいの抽出の基本は,人間の生き方を基本にして考えるということです。よく社会科の人間化といわれますが,ねらいを,こうした吟味を通して考えることも,その人間化の一つの視点となるのです。2 ねらいを学習指導要領から考える社会科の人間化という視点から,「安全なくらしを守る」の大単元を例に,ねらいの抽出について考えてきました。それには,編集委員による相当の検討が必要です。ねらいを抽出する基準は,学習指導要領の分析です。2 内 容(2)地域に見られる生産や販売の仕事について(中略)次の事項を身に付けることができるよう指導する。ア (イ)販売の仕事は,消費者の多様な願を踏まえ売り上げを高めるよう,工夫して行われていることを理解すること。イ (イ)消費者の願い,販売の仕方,他地域や外国との関わりなどに着目して,販売に携わっている人々の仕事の様子を捉え,それらの仕事に見られる工夫を考え,表現すること。販売の仕事の学習にかかわる学習指導要領の一部です。この文面から,この単元のねらいを考えると,一つは,仕事の様子であり,一つは他地域とのかかわりです。ここで考えることは,仕事の様子です。販売の仕事は,働く人や製品の販売の面からみると,消費者のニーズを基本にした仕事のくふうが考えられます。さらに,どのように消費者の願いに応え,売り上げを高めていくかにつながります。とすると,学習の中心のねらいになるのは,商店では,消費者のニーズに合わせたくふうと他地域とのかかわりだと考えることができます。このように,学習指導要領や解説書を読んで,その背景となるねらいを考えると,わりあい容易にその単元のねらいを抽出することができるでしょう。ねらいの抽出