ブックタイトル小学校算数・中学校数学　「データの活用」指導の初歩の初歩

概要

小学校算数・中学校数学　「データの活用」指導の初歩の初歩

9小６次のような２つのグループの記録を比べてみましょう。平均値は，どちらの組も17 ｍで同じです。しかし，１組で20 ｍ以上を記録したのが3 人なのに対して，２組で20 ｍ以上を記録したのは８人いるなど，分布の様子には違いが認められます。小６では，量的データの特徴や傾向をとらえるには，平均値だけではなく，そのデータの分布をみる必要があることを理解させます。そこで，量的データの分布の様子を視覚的にとらえやすくするための方法として，ドットプロットを指導します。１．分布の様子をとらえるグラフ表1 の値を小さい順に，値がないところは空けて，同じ値があるところは積み上げるように並べると，次のようになります。これを数直線に対応させ，値の代わりにドット（●）を配置したものが，ドットプロットです。次の図は，それぞれ，表１と表２をドットプロットに表したものです。２つの図を比べると，１組の記録は比較的狭い範囲に記録が集中しているのに対して，２組の記録はあまり集中しているところがなく散らばっていることがわかります。２．小６でドットプロットを扱う意義学習指導要領では，小６の〔用語・記号〕に「ドットプロット」が追加されました。しかし，これまでも小６でヒストグラム（柱状グラフ）を扱う過程では，ドットプロットも扱っていました。よって，その点では従来と変更がないといえます。むしろ，中央値と最頻値が中１から小６に移ったことで，ドットプロットの役割が増えることに留意が必要です。表１をもとにしたドットプロットでは，18 ｍが最頻値を表していることが一目でわかりますし，中央値も●の数を端から数えることで求めることができるからです。ドットプロット表２　ソフトボール投げの記録６年２組女子番号記録（ｍ）番号記録（ｍ）① 20 ⑩ 27② 12 ⑪ 23③ 16 ⑫ 22④ 11 ⑬ 21⑤ 6 ⑭ 21⑥ 20 ⑮ 25⑦ 15 ⑯ 10⑧ 15 ⑰ 8⑨ 17表１　ソフトボール投げの記録６年１組女子番号記録（ｍ）番号記録（ｍ）① 19 ⑩ 18② 14 ⑪ 18③ 20 ⑫ 24④ 15 ⑬ 18⑤ 22 ⑭ 19⑥ 10 ⑮ 14⑦ 16 ⑯ 17⑧ 17 ⑰ 11⑨ 16 ⑱ 185６年２組女子10 15 20 25 30（ｍ）5６年１組女子10 15 20 25 30（ｍ）5６年１組女子10 15 20 25 30（ｍ）最頻値中央値平均値10 11 12 13 141415 16 17 18 1916 17 1818181920 21 22 23 24