ブックタイトル小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩

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概要

小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩

16小1?小2 相対度数相対度数は,全体(度数の合計)に対する部分(各階級の度数)の割合を示す値です。1枚のコインを10 回投げて4回表を向いたとき,表を向いた相対度数は0.4 です。中1では,相対度数について,次の2つの内容を指導します。① 相対度数を用いてデータの分布をとらえること② 相対度数を確率とみなすこと①は従来から中1で指導していた内容で,実際に起こった事象に用いられるものです。これに対して,②は,実際に起こった事象から未来に起こる不確定な事象を予測するというものであり,学習指導要領上,中2から中1に移行してきた「多数の観察や多数回の試行によって得られる確率」(経験的確率)のもとになります。ここでは①について述べ,②についてはP.24 ~ 25 で述べます。1.相対度数と丸め誤差右上の表1はA 中学校とB 中学校の1年生男子のハンドボール投げの記録を整理した度数分布表,表2は表1の各階級の度数を度数の合計でわって求めた相対度数を表したものです。相対度数を求める過程で四捨五入をしているので,相対度数には丸め誤差が含まれています。そのため,度数が2倍でも相対度数が2倍でない場合があります。同じ理由で,相対度数の合計が1にならない場合もあります。このことについては,次ページで述べます。本来,縦軸に度数と相対度数のどちらをとってもヒストグラムの形は同じになるはずです。しかし,丸め誤差の分のずれは生じる場合があります。2.相対度数の必要性相対度数の指導では,その必要性を理解させることが大切です。相対度数の長所として,1つのデータの中で各階級に含まれる度数が割合として把握できることが挙げられます。例えば,A中学校の18 m以上27 m未満の相対度数の合計は0.20+0.21+0.19=0.60 であることから,6割の生徒がこの3つの階級にあてはまるということができます。2つ目の長所として,度数の合計が異なる複数のデータの分布の様子を比較しやすいことがあります。21 m以上を記録した生徒が多いのはどちらの中学校かを比べるには度数より相対度数のほうが適切です。中1表1 ハンドボール投げ階級(m) 度数(人)A B以上未満9 ?12 6 512 ?15 5 1515 ?18 12 2518 ?21 15 3121 ?24 16 2824 ?27 14 2027 ?30 7 10計75 134表2 ハンドボール投げ階級(m) 相対度数A B以上未満9 ?12 0.08 0.0412 ?15 0.07 0.1115 ?18 0.16 0.1918 ?21 0.20 0.2321 ?24 0.21 0.2124 ?27 0.19 0.1527 ?30 0.09 0.07計1.00 1.009 12 15 18 21 24 27 30(m)0510159 12 15 18 21 24 27 30(m)00.050.100.150.200.25図1 A中学校のハンドボール投げ図2 A中学校のハンドボール投げ