ブックタイトル小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
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小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
26中3では,中2までの学習を踏まえて標本調査を指導します。標本の無作為抽出の概念形成には,確率の意味理解が前提となります。また,抽出した標本の整理や分析の場面では,代表値,ヒストグラム,相対度数といった手法を使います。小・中学校を通して培ってきた「データの活用」領域の資質・能力を活用するという意味でも,標本調査は重要な内容といえます。1.標本調査の必要性中2までは基本的に,調査対象となる値全てがそろっていることを前提に,データの分布の傾向を読み取ることを指導します。しかし,日常生活や社会においては,様々な理由から,調査対象となる値全てを収集できない場合があります。具体的には,次の①や②のような場合です。また,③や④のような場合も,標本調査が有用です。① 時間や費用が制限されていて,全数調査ができない場合(世論調査において時間が経過することで情報が陳腐化する場合,費用対効果の問題など)② 全数調査が原理的に不可能な場合(破壊検査など)③ 全数調査を実施した上で,調査の結果を早く知りたい場合(国勢調査の速報値)④ 全数調査より実質的に高い精度が得られる場合(少数のすぐれた調査員でなければ正確な調査ができないような場合)中3の教材としては,①と②を取り上げれば十分でしょう。①としては,テレビの視聴率調査や新聞社が行う世論調査が,よく取り上げられます。文化庁の「国語に関する世論調査」や文部科学省の「体力・スポーツに関する世論調査」なども,興味付けの話題としてよいでしょう。②としては,電球や電池など,消耗品の寿命の検査があげられます。袋詰めの食品を開封して中身の品質をチェックする検査も②に含まれますが,単に「品質検査」というだけでは,必ずしも標本調査とはいえません。X 線検査機や金属検出機で異物混入をチェックし,選別機と併用して自動で不良商品を排除する検査は全数調査が可能です。同じ商品について,複数の検査項目があり,検査の内容によっては全数調査を実施している場合もあるので,問題作成の際は注意しましょう。2.全数調査との比較標本調査の必要性と意味の理解を深めるには,全数調査と比較することが有効です。身近なところでは,健康診断や進路志望調査などが全数調査といえます。集団の傾向を知りたいのではなく,個々の実態を知りたいという目的があるのであれば,全数調査を実施するしかありません。また,調査対象が小規模な場合や,全数調査を行うことに特別なリスクがない場合は,あえて標本調査をする必要がないので,全数調査をするという場合もあります。全数調査と標本調査の長所と短所をまと中3 標本調査