ブックタイトル小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
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小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
28小1?小2 無作為抽出と乱数ら,男女を半分ずつ,年齢も世代別に10人ずつというように均等に選んだとします。この場合,一見すると標本に偏りはないように思えます。このような抽出方法で妥当な調査結果が得られるでしょうか。前述の「駅前で選ぶ」方法では,標本とした人たちの性別・年齢などの比率と母集団のそれとが一致していなければ,論理的に必然性がない抽出といえるでしょう。また,その比率を一致させたとしても,その日時にその場所にいない人を調査対象から除外していることになりますし,声をかけやすい人と声をかけにくい人を無意識のうちに選別している可能性もあります。したがって,このような方法で抽出した標本から母集団の性質を推定すると,母集団の本来の性質から離れた結果を得ることになりかねません。そのため,無作為抽出をすることが大切になります。高等学校以降の学習内容になりますが,分布のモデルを用いて推測や検定を行う場合は,前提として,標本の抽出方法は無作為抽出です。2.母集団の規定の大切さ標本調査では,必ず母集団を定義します。この母集団は,自分の調べたいこと,問題と考えていること,いいたいことによって規定されます。例えば,「中学生が好きなスポーツの傾向」を知りたいとします。そうすると,調査対象となる中学生が,どの範囲を示して1.無作為抽出図1に示すように,標本調査は,母集団から取り出した標本の性質を調べ,それをもとにして,母集団の性質を推定する調査方法です。母集団標本調査する母集団の性質 標本の性質推定する取り出す図1 標本調査のイメージ標本の抽出方法には,有意抽出と無作為抽出があります。有意抽出は,母集団を代表すると考える調査対象を意図的に選び出す抽出方法ですが,この方法には抽出の妥当性を客観的に判断することが難しいという面があります。無作為抽出は,調査対象を確率的に選び出す抽出方法です。ここでいう「無作為」とは,「偏りがなく,恣し意い的でない」ということです。「恣意的」は,「論理的に必然性がないさま,自分の好みやそのときの思いつきで行動するさま」という意味です。例えば,国民全体の意識調査をするときに「女性」や「若い人」を中心に標本を選べば,母集団の構成と標本の構成が異なるので,標本の取り出し方に偏りがあるといえます。それでは,駅前で通りがかった人の中か中3