ブックタイトル小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
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小学校算数・中学校数学 「データの活用」指導の初歩の初歩
31ます。ここまでの話を中学生に理解させることは困難です。授業では経験的に理解させるようにします。3.標本抽出の回数と標本調査の精度標本抽出を1回だけするよりも,複数回行った結果を平均した方が精度があがることが知られています。ここでは,中学生が実験によって経験的に理解することについて述べます。例えば,10,20,30,…,80 と数がかかれた8枚のカードを用意し,8枚から6枚のカードを無作為抽出する実験をします。(実質的には8枚から除外する2枚のカードを選ぶことと同じです。)この実験を5回繰り返して求めた標本平均の平均値と,10 回繰り返して求めた標本平均の平均値とを比べてみるのです。高い確率で,5回繰り返した場合より10 回繰り返した場合の方が,母平均に近い値が得られます。ただし,偶然,逆の結果になる場合もあるので,学級全体で結果を共有してみるとよいでしょう。標本の大きさを変えながら上述したような実験を行い,標本平均と母平均の関係について考察する授業では,標本調査の学習と確率の学習との繋がりを実感することができます。また,標本調査における標本の大きさの重要性についても自然と学ぶことができるのではないかと考えます。ぜひ,授業で実践して頂ければと思います。参考文献:松井 博(2005)『標本調査法入門』日本統計協会[10 では母平均45 が収まりません。しかし,許容する誤差が[20 なら母平均45が収まります。このように考えていくと,標本平均[10の範囲に母平均45 がある確率は,34/56≒ 0.61 より61%であるとわかります。また,許容する誤差の範囲を広げて[20 にすると,52/56 ≒ 0.93 より,93%の確率で母平均が標本平均[20 の範囲内にあると考えることができます。実際の母平均を知る術すべがないとしても,以上のような確率の考えにもとづいて母平均を推定することができます。ただし,許容する誤差を小さくすれば,推定値が許容範囲から外れる確率が高くなります。2.標本の大きさと標本調査の精度表1の8個の値から抽出する標本の大きさを大きくしてみるとどうなるでしょうか。標本の大きさを6個にしてみましょう。8個の中から6個選ぶ組み合わせは28 通りです。その28 通りのそれぞれの標本平均を求めて,その分布を図2に示しました。02435 36.7 38.3 40 41.7 43.3 45 46.7 48.3 50 51.7 53.3 55図2 標本の大きさが6のときの標本平均の分布この図から,母平均[10 の範囲に全ての標本平均が収まり,母平均[5 の範囲には20/28 ≒ 0.71 より71%の標本平均が収まることがわかります。このことから,標本の大きさを大きくすれば,標本平均と母平均との差が縮まると期待できることをご理解いただけると思い