ブックタイトル尾形弘先生発 学級指導のちえぶくろ

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概要

尾形弘先生発 学級指導のちえぶくろ

学習に密接なつながりのある脳と心の関係を、子どもたちがイメージしやすいように「ノンくん(脳)」「ハートさん(心)」というキャラクターに置き換えて語りかけています。 人の脳には、すばらしい学習機能(力)が備わっています。そんなすばらしい脳をもって生まれてきたのに、使われている部分はほんの数十パーセントだそうです。眠っている部分をうまく使えば知識がたくさんたまるのに、もったいないことです。 そして、脳の中で使われていない部分がたくさんあると知って、ハートさんはやきもきしています。使わないままさびて、働かなくなってしまうことが心配だからです。 「このままでは宝のもちぐされになってしまうよー」 「すばらしい力を学習に使ってくださいー」 ノンくんとハートさんは、みんなにそう語りかけているに違いありません。脳は眠っている 知識をたくさん増やしていくことは、とても大事なことです。でも、もっと大事なことは、何かを覚えようとするときこそ考える力がどんどん高まるということです。 だれでも、昨日よりも今日、今日よりも明日というふうに、成長したいと望んでいます。そのために「もっと覚えたい」「深く知りたい」と意欲をもやします。その意欲が出ると、ノンくんは「性能アップ!」と、より高い望みをかなえようと、すぐに変身を始めるのです。ノンくんは変身名人 高い場所に上って見下ろすと、こわくて身がすくむことがあります。これは、自分の命を守るために自然に起こる信号です。でも、何かに上って挑戦するときなど、このこわさを克服しなければならないときがあります。 例えばプールです。だれでも最初は深い水の中に入るのをこわがります。泳げなければ命にかかわるからです。でも、練習を重ねて泳げるようになってくると、こわいという気持ちが薄れてきます。そして、水に慣れると水の中で遊ぶことが楽しくなってきます。 このように、慣れることは自信につながる大事なことですが、同時に油断を呼び、けがや事故を起こす原因にもなります。ですから、慣れるほどに注意深く過ごすことが大切です。けがや事故を起こさないために 全校集会などでみんなの前て話をするときに、緊張することがあります。緊張してしまって上手に話ができないこともあります。そんなとき、自分は弱い性格だと決めつけてしまうことはありませんか。そうすると、また同じことが起こるのではないかと不安になり、何事にも自信がもてなくなります。そんな思いこみは、よいことではありません。 みんなの前で起こる緊張は、うまく話せるだろうか、ちゃんと伝えられるだろうかと心配のあまりに起こるもので、よりよくしようと真剣に、慎重に考えている人に起こる心の動きです。気が弱いどころか、気配りのできるすばらしい人なのです。 そんな気配りやさんでも、人前に出ることを何度もくり返しているうちに、少しずつ慣れてきて緊張しなくなっていくものです。そうして、ものおじせず堂々と話せるようになっていくと、今度は「自分は気が強いんだ」と思い始めるかもしれません。このように、気が弱い、気が強いというのは、気持ちのもち方でも変わっていくものなのです。心と感情のふしぎ(思いこみ) 毎日ただ何となく過ごしていては、脳の働きはよくなりません。「しっかり覚えるぞ」という意志が必要です。その心(ハートさん)の働きかけが脳(ノンくん)にスイッチを入れるのです。 脳も性能を高めようと、絶えず学習しています。脳の成長で一番大事なことは、よく考えることです。わかっている問題をくり返すだけでは、考える力にあまりつながりません。階段を一歩いっぽ上がるのと同じように、まだ知らない課題に、一つひとつチャレンジしていくことが大事です。その積み重ねが、考える力を高め、脳の働きをよくしていくのです。ノンくんのスイッチを入れるのはハートさんあなたの中に住んでいる“脳のノンくん” と、“心のハートさん” は大のなかよしです。学んだことを記憶するのはノンくん、ノンくんに働きかけるのがハートさんの役目です。学級指導特に高学年にしておきたい脳と心の話難しい内容でも、こうしてわかりやすい例えや言葉を使って説明すると、子どもたちがぐんと理解しやすくなりますよ。18 19